ロボット掃除機の生みの親が仕掛ける「感情を持つ機械」とは。ルンバを退き1年、コリン・アングル氏が語る新会社の狙い

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ChatGPTをはじめとする生成AIが急速に普及する中、なぜあえて物理的なロボットを作るのか。

「情報処理は画面で十分です」とアングル氏は明快だ。「でも物理的な作業、人との物理的なかかわり、ゲームをプレイする。そこには物理性が必要です」。

記者が「ChatGPTは机の上を片付けられない」と言うと、アングル氏は笑った。「そうですね。でもフィジカルAIはスプレッドシートを作れませんけどね」。

PCやスマートフォンの中で文章を書いたり、質問に答えたりするAI。現実世界で物を動かし、人と触れ合うAI。それぞれに得意分野がある。FM&Mが目指すのは後者だ。

Familiar Machines & Magic
Familiar Machines & Magicのオフィス風景(同社提供)

創業から1年。プロトタイプ開発は進んでいる。具体的なロードマップは明かさないが、「来年戻ってきたときには、もっと多くをお見せできるでしょう」と自信を見せた。

「今は一番楽しみな時間です。あらゆる変化が起き、いろんなものが進化していく。ロボティクスとファミリアの分野は、今後5年で過去50年以上分の進歩を遂げるでしょう」

日本が鍵を握る

「日本は感情的知性を持つフィジカルAIの早期採用市場として、世界で最も重要になるでしょう」

アングル氏の日本への期待は大きい。「日本の文化はロボット技術を歓迎し、ロボットを解決策として捉えています」。iRobot時代も日本は北米に次ぐ最重要市場だった。

ソニーのAIBO、GROOVE XのLOVOT。日本には家庭用ペットロボットの土壌がある。高齢者施設でのセラピー利用も広がる。FM&Mが目指す「ケアするロボット」は、高齢化と独居世帯増加という日本の課題と合致する。

2002年、iRobotは一台の掃除ロボットから始まった。20年後の今、世界中の家庭に広がった。次にアングル氏が目指すのは、人が「壊れたから交換して」ではなく「医者を呼んで」と言いたくなる存在だ。多くのロボット企業がヒューマノイドと器用さに注力する中、FM&Mは感情的なつながりに焦点を当てる。タスクと関係性の組み合わせ――それが新しいファミリアの姿だ。

石井 徹 モバイル・ITライター

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いしい とおる / Toru Ishii

1990年生まれ。神奈川県出身。専修大学法学部卒業。携帯電話専門媒体で記者としてのキャリアをスタート。フリーランス転身後、スマートフォン、AI、自動運転など最新テクノロジーの動向を幅広く取材している。Xアカウント:@ishiit_aroka

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