ロボット掃除機の生みの親が仕掛ける「感情を持つ機械」とは。ルンバを退き1年、コリン・アングル氏が語る新会社の狙い

同社のリファレンスデザインは20〜25の自由度を持ち、強化学習で関節を制御する。ルンバより複雑な動作を実現するが、ハードの進化だけが本質ではない。
ルンバとの決定的な違いは、生成AI技術の活用にある。アングル氏は4つの進化を挙げた。
「まず、カメラが部屋の様子を見るだけでなく、そこにいる人の表情から感情まで読み取れるようになりました。悲しそうなのか、楽しそうなのか、機械が理解できるんです」

次に、見たり聞いたりした情報から、何をすべきか判断できるようになった。そして、その判断に「個性」を持たせることも可能になった。同じ状況でも、優しく接するか、元気づけるか、機械が選べる。
最後は動き方の進化だ。「強化学習という技術で、より自然で効果的な動きができるようになりました。ぎこちないロボットの動きではなく、生き物のような動きです」
「これらはすべて、ここ12カ月で可能になった技術です」とアングル氏は強調する。
形は問題ではない
「多くの人はロボットと聞けばヒューマノイドを思い浮かべます」
アングル氏は首を横に振った。「でもロボットは問題を解決する最適な形を取るべきです」。
2002年のルンバ発売時を振り返る。「もし人型ロボットが掃除機を押す形で作っていたら、コストは10倍になっていた」。その固定観念を捨てたからこそ、世界中の家庭に普及した。
FM&Mも同じ哲学を貫く。最初の製品がヒューマノイドか、動物型か、まったく新しい形か――明かさない。「C-3POでもR2-D2でもあり得る」。スター・ウォーズのロボットを例に挙げ、「感情を持つのにヒューマノイドである必要はありません」と強調した。
用途は幅広い。高齢者ケア、スマートホーム、エンターテインメント、家族サポート。自動運転車で乗客を守り楽しませる役割。小売店での買い物体験向上。プラットフォームだからこそ、さまざまな形と用途が生まれる。
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