ガラス細工の「ガザ停戦」…イスラエルを叱れるのはやっぱりアメリカ、「パレスチナ和平」への難路にトランプ大統領を釘付けできるか

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次はハマスの武装解除が進められる。ガザの統治を行うためトランプ大統領をトップとする「平和評議会」も作られる。この委員会にはイギリスのトニー・ブレア元首相や関係国の首脳らが加わる予定だ。

そして「平和委員会」の下に、「有能なパレスチナ人と国際専門家で構成」される「パレスチナ委員会」を設置する。この組織が実質的な暫定政権となってガザの統治を担当する。

一方、ガザの治安についてはアラブ諸国などが派遣する兵士らで構成する「国際安定化部隊」を創設して対応する。この部隊はパレスチナ人の警察組織の訓練なども担当する。

ハマスの武装解除など状況の進展に合わせてイスラエル軍は段階的に撤退し、最終的にはガザから完全にいなくなる。

一方、ハマスは「直接的・間接的・いかなる形態においてもガザ統治に関与しない」とされており、パレスチナ委員会に参加できない。武装解除が実現すれば、軍事組織としても政治組織としても存在することが困難になるだろう。

パレスチナ人強制移住計画を否定

またイスラエルはガザ地区を占領、併合しない。そして、パレスチナ人を強制的に移住させるようなこともしないとされている。イスラエルの極右勢力がもくろんでいる計画は完全に否定されている。

そして、最後に「パレスチナ人の願望であるパレスチナの自己決定権と国家建設への信頼できる道筋が整う可能性がある」としており、明言はしていないがパレスチナ国家樹立にも言及している。

この計画案はアメリカが単独で作り上げたものではなく、ブレア元首相はじめ欧州のいくつかの国、そしてアラブ・イスラム諸国の要求などを取り入れた内容となっている。この筋書き通りに進めば2つの民族の平和共存が可能となる。

もちろん現実は厳しい。超えられそうにない壁がいくらでも思いつく。

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