「国立競技場」→「MUFGスタジアム」でどう変わる? "ONE OK ROCK単独公演"の誘致に見る本気度

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「ナショナルスタジアム−シティ連携」と名付けられた地域連携策も発表された。周辺商店街との協力、学校向け教育プログラム、住民参加型の健康教室。どれも悪くない取り組みだが、6万8000人規模の施設には物足りない。

竹内社長は「小さなことが大切」と力説した。2025年春の音楽ライブで商店街にのぼりを立て、スタッフがライブTシャツで接客した例を挙げた。「地域の方々が『今日も何かやってるな』と思ってくれれば」という言葉に、理想と現実のギャップがにじむ。

地域社会への貢献
MUFGの髙瀬CSOは地域社会への貢献も強調した(筆者撮影)

MUFGの髙瀬CSOも「MUFGパークの経験を活かす」と述べたが、武蔵野の一公園と国立競技場では規模が違いすぎる。金融教育やスポーツ教室という定番メニューで、果たして「世界トップレベル」になれるのか。

2026年、MUFGスタジアムへ

風致地区規制をクリアして屋外広告掲出が可能になったことで、収益化の選択肢は大きく広がった。デジタルサイネージ、壁面広告、プロジェクションマッピングなどの展開が可能になり、オフィシャルパートナー向けにゲートやラウンジの命名権も用意される。

2026年1月から、国立競技場は「MUFGスタジアム」の呼称で運営される。正式名称は「国立競技場」のまま残り、国際大会では従来通りの名称を使う。略称は「MUFG国立」。竹内社長は「アスリートやファンに愛着を持ってもらいたい」と期待を込めた。

左から、NTTドコモの前田義晃社長、JNSEの竹内晃治社長、三菱USJフィナンシャルグループの亀澤宏規グループCEO、同高瀬英明グループCSO兼CSuO
左から、NTTドコモの前田義晃社長、JNSEの竹内晃治社長、三菱USJフィナンシャル・グループの亀澤宏規グループCEO、同髙瀬英明グループCSO兼CSuO(筆者撮影)

年間17億円の運営権対価を支払いながらの黒字化は容易ではない。スイートルーム48室の販売、年間120日以上のイベント開催、260万人の集客目標。これらの数字を達成できるかどうかが、民営化の成否を分ける。

竹内社長は発表会の最後に「国立から日本の誇りを世界へ届けたい」と締めくくった。民営化によって生まれた柔軟性を最大限に活かし、新たなスタジアムビジネスモデルを構築できるか。その答えは、5年後に明らかになる。

石井 徹 モバイル・ITライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いしい とおる / Toru Ishii

1990年生まれ。神奈川県出身。専修大学法学部卒業。携帯電話専門媒体で記者としてのキャリアをスタート。フリーランス転身後、スマートフォン、AI、自動運転など最新テクノロジーの動向を幅広く取材している。Xアカウント:@ishiit_aroka

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事