10年で大変貌「官能都市ランキング」から考える「都市の魅力の作り方」《文京区、武蔵野市、金沢市は低迷。千代田区、中央区、豊島区が飛躍》
今、地方都市の商店街を空いたままにしている世代はバブル期に大儲けをした人たちが多く、当時のバカ高い賃料を今もはっきり記憶している。そのため、空き家になっても安くしてまで貸そうとは思わず、過去の蓄積があるため、その必要もなく、危機感もない。
結果、中心部のメインストリートほど空き店舗が並び、若い人たちの今の時代に合わせた楽しめるまちづくりに反対する例さえみられるほど。世代交代が行われれば事態は変わるかもしれないが、今はまだ過渡期。それが地方都市の変化を阻害しているということだろう。


カギを握る「飲食店」の存在
もうひとつ、モータリゼーションがずっと続くと信じ、車に乗れない未来が来ることを想像しなかったことも大きい。クルマ社会は人を分散させ、飲食店から人を遠ざける。
だが、都市部の、今回魅力的とされた地域では日本橋兜町のような、これまでオフィスオンリーとみられていた地域にも上質な飲食店が増加。それが官能度アップに貢献した。
「飲食店は人と出会う場であり、都市の楽しみのひとつ。日本を訪れる観光客も引き付けており、飲食店に代表される小さな商売が残る再開発を可能にすることが今後は大事です。
ただ、現時点では飲食店は保健所、消防署というまちづくりとは距離のある部署に管理されており、今後のまちづくりではそこを考えていく必要があるかもしれません」(島原さん)


ここまでセンシュアス度が上がった地域、下がった地域を見てきたが、ここでひとつ、疑問が湧く。大手の、地域密着の事業者がいない都市の郊外部、地方都市ではどうすれば魅力的な開発が行えるようになるかということである。
また、都心部で魅力的な開発をしている事業者でも郊外の住宅中心の開発では分譲しておしまいといったおざなりな開発しかしないことは多々ある。そんなつまらない開発を都市部のようなまちが楽しくなる開発に変えていくためにはどうすればいいのか。
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