「GDP日本超え目前」久々に歩いたインドが別物だった…高速道路、地下鉄など交通インフラが飛躍的に進化
こうしたアメリカの圧力に対して両国の関係は急激に悪化しており、場合によっては世界経済全体に大きな影響をもたらすと指摘されている。とりわけ、農業大国であるインドの状況は、トランプ大統領の思惑とは大きくかけ離れたものといえる。
確かに、インドは輸入産品に平均「39%」の関税をかけているが、インドにとって長年の課題であった農業の近代化のためには高い関税率で農業生産者を守ることが不可欠だ。実際に、今回のインド訪問で目についたひとつが、インド農業の近代化だ。機械化が進み、広大な農地が整備されつつある。
アメリカの経済紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』も、8月28日の配信「【オピニオン】米国をも上回るインド農業の影響力」で次のように指摘している。「過去50年間で、インドは食料自給に苦労していた国から農業大国へと変わった。世界最大のコメの生産・輸出国であり、牛乳や、ひよこ豆などの豆類の生産も世界一だ。小麦と綿花の生産は中国に次いで2位、さとうきび生産はブラジルに次ぐ2位となっている」「インドの国内総生産(GDP)に農業が占める割合は約16%にとどまるが、農業者が労働人口の半分近くを占めるため、政府は彼らの対応に慎重になっている」。
こうしたインドのアメリカに対する抵抗は、通貨のルピー安となって現れている。アジア通貨の中でも、日本の円以上に売られており、対ドルのインドルピーは過去最安値圏で推移している。将来的なインフレが心配になるレベルといっていいかもしれない。
最近になって、トランプ大統領が一方的に「
世界最大の人口大国、インドは中国とは異なる道を歩む?
現在のインドの都市部の姿は、ある意味で、中国の四半世紀前に似ているのかもしれない。上海や北京に高層ビルが乱立し、急速に成長した時期だ。もっとも、その後の中国は人口抑制政策を継続したために、若者の人口が少なくなり経済成長に歯止めがかかってしまった。
その点、インドは宗教上の理由などから、人口抑制政策には積極的ではない。実際にインドの平均年齢は「28歳」(2025年、国連)であり、中国の40歳(同)、日本の49歳(同)と比較して若者人口が多い。人口も、国連の推計では2023年4月末に14億2577万人となり中国を抜いた。
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