「中国人の"日本永住希望者"急増」「高度外国人材の認定者数は9年で7倍に!?」→中国中流層の間で"美大ブーム"が起きる制度のカラクリ

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「でも、中国は日本に比べて何かと不自由です。例えば、芸術作品の制作を行う作家として活動するにしても、やはり『政治』を気にしないといけません。その点、日本は自由で、治安もすごく良く、街並みもきれいです。市民センターなどの公共施設も充実しています。美術館が多いのも気に入っています」。ニンさんはそう笑顔で話す。

この先、ニンさんはどうするのか。「せっかく日本に来たのに、このまま中国に帰るのはもったいない」と言う。社会に出てからまだ1年余りだが、高度外国人材スコアは既に90点にも達している。早くも日本で永住権取得を申請する権利を持つわけで、ならば「このまま日本で結婚し、子供には日本で教育を受けさせたい」と、近く永住権取得の申請に取りかかる予定だという。

中国人留学生の増加は今後も加速

ニッポン華僑100万人時代 新中国勢力の台頭で激変する社会
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こんな「日本留学」→「日本で就職」→「高度外国人材」→「日本永住権取得」のルートが昨今、中国でも本格的に認知されるようになり、中国人留学生は、かつてないペースで日本に流入する状況にある。取材班が、出入国在留管理庁の統計データを基に「留学」の在留資格で、日本に新規入国した中国人の数を月間ベースで調べたところ、2025年3月には1万1618人にも上り、過去最多の人数を記録していたことが分かった(特殊要因の月は除く)。

「日本でルートに乗りたい」と思いながらも、新型コロナの感染拡大で、一時は日本への留学をためらった中国の若者も、ここに来て一気に日本への入国・留学に踏み切っていることが、統計上からも如実に分かる。米トランプ政権が、中国人留学生に対して入国制限を強化するなか、さらに多くの中国人留学生が今後、日本を目指してやって来る流れは一段と加速するものとみられる。

日本経済新聞取材班 日本経済新聞社データ・調査報道センターの記者で構成する取材班

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にほんけいざいしんぶんしゅざいはん / Nihonkeizaishinbunsyuzaihan

中村裕、浅沼直樹、岩崎邦宏、綱嶋亨が取材・執筆を担当した。本書の基になったデータ・調査報道シリーズ「ニッポン華僑100万人時代」は、第2回国際文化会館ジャーナリズム大賞を受賞

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