「過剰な便乗値上げ」で利益率が急上昇 日本企業の"強欲"がリフレ政策を台無しにする≪グリードフレーション≫の罠

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リフレ政策実施により、需要が増えた分だけ、企業が設備投資を増やし、賃上げをして経済を活性化させるというのが本来の理屈です。しかし、需要が増えているにもかかわらず、企業が設備投資を増やさず、賃上げもしなかった場合、利益も利益率も上がってしまいます。

逆に、利益率が上がってしまうと、リフレ政策の好循環は妨げられます。

「強欲」+「インフレーション」

これを「グリードフレーション」とも言います。「強欲(Greed)」と「インフレーション」を組み合わせた造語で、企業がインフレを口実に便乗して利益を拡大させることです。具体的には、コストの上昇分以上に価格を引き上げた現象を意味します。

グリードフレーションに関しては経済学者の間で議論がありますが、ポイントは利益と利益率の議論に尽きます。需要が増えて利益が増えるのは一般的な現象であり、グリードフレーションには値しませんが、利益率が上がることは、グリードフレーションが主張する「過剰な便乗上げ」に該当すると考えられるからです。

グリードフレーションの下では、企業は需要の増加と単価の上昇により利益を増やしていますが、設備投資を増やさず、賃上げもインフレに見合うほどはしないからこそ、利益も利益率も上がります。

これによって、実質賃金は減少し、家計が苦しみますので、リフレ政策の好循環に想定される経済成長に水を差す形となります。

この現象を判断するには、利益率の上昇と労働分配率を確認する必要があります。

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