気象情報のウェザーニューズ、電力市場に参加する企業や電力トレーダーたちが新たな顧客層に

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再エネは天候の影響を受けやすい(米国の風力発電)Photographer: David Paul Morris/Bloomberg

日本の電力取引市場の活況を背景に、気象データを活用した情報サービスがじわり存在感を高めている。世界の気象や環境情報を提供するウェザーニューズも流れに乗る一社だ。電力市場に参加する企業や電力トレーダーたちが新たな顧客層として加わっている。

エネルギー・流通気象事業担当の武田恭明執行役員は、ここ2-3年で日本の電力市場にすでに参入しているか関心を持つ海外の顧客との付き合いが始まったと話す。取引や接点があるトレーディング関連企業は数十社あるが、「3割ぐらいは海外系」で「欧州系が多い」という。トレーダーのみが対象ではないが、英語での情報発信も進めている。

「船乗りの命を守りたい」という思いで創業

千葉市に本社を置く同社は約40年前に設立された。同社ウェブサイトによると、創業者である石橋博良氏(故人)が、爆弾低気圧に伴う貨物船の沈没事故を受けて、「船乗りの命を守りたい」という思いで会社を立ち上げたという。

同社の特徴は、気象庁のデータと独自の観測ネットワークを組み合わせている点だ。観測網は気象庁の約10倍にあたる地域をカバーしているという。業績も好調だ。前期(2025年5月期)の営業利益は38%増の45億円で、今期も増益を見込む。

電力取引では、わずかな気温や雲の量の変化が価格を動かす可能性がある。取引業者が求めるデータを提供できる企業には商機がある。岩井コスモ証券の川崎朝映シニアアナリストは、今後の見通しについて「電力需要に影響を与える気象データのニーズは拡大し続けるだろう」と話す。

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