家電のソニーからエンタメのソニーへ。CESにソニー・ホンダモビリティが出展し、ソニーグループ・サムスンが「メイン会場を去る」背景

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そんななか同時に、大手メーカーも自社のあり方を変えてきている。YouTubeやソーシャルメディアがある今、大手は自分たちだけで製品をアピールできる。その時期も、CESが行われる年初である必然性はない。別のイベントもあるし、自社で製品発表時に公開してもいい。その方が認知には有効だ。

ソニーグループの決断はその一例だし、「自社でまとまる」ことを重視したサムスンの決断も、1つのあり方だろう。

それでも「関係は維持する」事情

一方で、ソニーグループにしてもサムスンにしても、CESの主催者であるCTAから離れてしまうわけではない、という点にも注目しておきたい。

CTAは業界団体であり、イベントの運営をしているだけではない。アメリカという世界最大の市場を軸に、多数の国に影響を与える存在だ。規格や規制の策定、アメリカ政府へのロビイングなど、役割は多数ある。彼らとの関係を断つのは、大手であるほど「得策ではない」という判断になるだろう。

また、この種のイベントは「実績」がものをいう。ひとたび出展をやめてしまうと場所はなくなり、新たに同じ面積で同じような待遇を維持するのは難しくなる。

ソニーグループがソニー・ホンダモビリティに場所を譲る形としたのも、サムスンが独自出展に近い形なのにCESとの関係を切っていないのも、場所や待遇は維持しておきたいという発想ゆえだろう。

ソニーグループは日本国内のイベントである「CEATEC」では、ブースの内容を毎年ガラリと変えている。医療技術にフォーカスした年もあれば、2024年はAIとセンシングに特化した。今年2025年は、スタートアップ支援を軸にするという。そういう機動的な使い方も、ブースの枠を維持しているからやりやすいことだ。

CESが転機を迎えているのは間違いなく、今後も姿を変えていくだろう。その中で、各企業も「どう展開するか」を考えながら立ち回っているということなのだ。

西田 宗千佳 フリージャーナリスト

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にしだ むねちか / Munechika Nishida

得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、『アエラ』『週刊朝日』『週刊現代』『週刊東洋経済』『プレジデント』朝日新聞デジタル、AV WatchASCIIi.jpなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。著書に『ソニーとアップル』(朝日新聞出版)、『漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち』(講談社)、『スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場』(アスキー新書)、『形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組 』『電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ』『iPad VS. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏』(すべてエンターブレイン)、『リアルタイムレポート・デジタル教科書のゆくえ』(TAC出版)、『知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?』(共著、徳間書店)、『災害時 ケータイ&ネット活用BOOK 「つながらない!」とき、どうするか?』(共著、朝日新聞出版)などがある。

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