コメの価格はいつになったら下がるのか? 「保護されすぎている農家」という構造的問題
ただ、現状は「転作作物はそれなりの収益を確実に得られる」し、「主食用米は大きな収益を得られる可能性が高い」という状況が、天秤にかけられた状態である。これが、もし「転作作物の補助金をゼロ/ほとんど収益がない状態」にした時に、農家がどのような判断をするかは、誰にもわからない。
農業者や農業団体が恐れているのは、全体としての過剰な増産である。令和7年産の6月末の作付け意向では主食用米の作付け意向136.3万haまで増えたが、それでも飼料用米・加工用米などの非主食用米で合計15.6万ha、水田での麦・大豆の作付け意向が17.2万haある。
もし、この合計32.8万haすべてが主食用米の作付けになると、900万トン以上の生産量になるだろう。それがすべて市場に出てくれば、コメの価格はおそらく暴落する。
その結果、経営継続できない農家が続出してしまう可能性がある。翌年か、数年先かは、わからないが、今度は需要を満たす生産ができなくなり、コメ価格が暴騰する事態が次にくる。そうした極端なコメ安とコメ高を繰り返したのち、生産量と価格の安定が待っているかもしれない。ただ、その前に、コメ農業の生産基盤が壊滅する可能性も否定できない。
今後、日本が取り組むべき政策とは
つまり、単に「減反政策をやめればうまくいく」というような簡単な話ではない。あらゆる政策に当てはまることだが、とくに農業生産に関する政策は性急に革新すればいいということではない。
むしろ、政策の連続性や安定性がなによりも重要だ。「試しにやってみたけど、うまくいきませんでした」は、絶対に許されない。理論的な理想状態が仮定できたとしても、問題は、その状態にどうやってスムーズに移行できるかである。