高市氏"悲願の勝利"で幕を閉じた自民党総裁選、《4位・5位連合》で権力をたぐり寄せた「本当の勝者」は誰か

まさに悲願の勝利だった――。高市早苗前経済安全保障担当相が10月4日、創立70年目を迎える自民党の初の女性総裁に選出された。
高市氏は1度目の投票で議員票64票・党員票119票の計183票を獲得し、ほかの4人の候補を抑えてトップに躍り出た。ただ、過半数(295票)を制することができなかったため、同80票・84票の計164票を得た小泉進次郎農林水産相と決選投票となった。その結果、高市氏が議員票149票・都道府県票36票の計185票を得て、同145票・11票の計156票を獲得した小泉氏を下した。
高市氏の勝因と小泉氏の敗因
高市氏は初出馬した2021年の総裁選で、故・安倍晋三元首相の全面的な応援を得て議員票114票を獲得。決選投票に進めなかったものの、有力候補と目された河野太郎元外相の86票を上回った。
昨年の総裁選では、1回目の投票で議員票72票・党員票109票の計181票を獲得し、同46票・108票の石破茂首相を上回ってトップとなった。だが、決選投票では議員票を173票しか得られず、議員票189票を獲得した石破首相に敗退。各都道府県連での得票数が上位の候補が1票を獲得する都道府県票では、石破首相が26票、高市氏が21票と、1回目の投票とは逆転する現象が発生した。栄光をつかみ損ねた無念さに、高市氏は唇をかみしめていた。
敗因は、岸田文雄前首相や菅義偉元首相が高市氏の総裁就任を嫌い、石破首相に票を投じたことだった。その背後に、中国に気を遣う経済界の存在があるといわれた。靖国参拝を宣言する高市氏が総理総裁になったのでは、彼らにとって都合が悪い。
もう1つの敗因は、決選投票前の高市氏の演説だった。勝利を確信した高市氏は、感極まって与えられた時間をオーバーし、自民党が連立を組む公明党にまで感謝を述べたが、これが一部の議員の反感を買ったようだった。ある議員は「まだ決まったわけではないのに、あれではまるで総裁就任演説だった」と打ち明けた。
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