高市氏"悲願の勝利"で幕を閉じた自民党総裁選、《4位・5位連合》で権力をたぐり寄せた「本当の勝者」は誰か

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だから今回、高市氏は関係者への感謝を示しつつも、衆参両院で過半数を割った自民党の危機を重点的に訴えた。ミスさえしなければ、勝算は十分だ。

一方で小泉氏の演説には強さが感じられず、まるで敗北宣言のようにさえ聞こえた。それは総裁選を通じて、感じられたことだった。

昨年の総裁選で小泉氏は選択的夫婦別姓や解雇規制撤廃を叫び、「小泉らしさ」を出していた。だが、批判が多かったとして、今回はこれらを封印した。

木原誠二
小泉陣営の選対委員長を務めた木原誠二氏(写真:ブルームバーグ)

関係者は「政策は木原誠二氏が作った。『余計なことを加えたら、もう応援はしない』と言われたらしい」と打ち明けた。討論会などで昨年の総裁選よりも小泉氏が「カンペ」を読むのが目立ったのは、それゆえだったのかもしれない。

「党員票の多いほうに入れろ」指令の真実

あるいは、1回目の投票の議員票を見て、油断したのかもしれない。高市氏が獲得した64票は、小泉氏の80票はもちろん、林芳正官房長官の72票を下回った。

昨年の総裁選では、1回目の投票で46票の議員票を獲得した石破首相が勝利したが、それは2回目の投票で菅元首相や岸田前首相が石破首相を応援したためだった。そして今回の総裁選では、この2人は小泉氏を支持することになっていた。

しかし、現実はそれほど単純には進んでいなかった。前回の総裁選で高市氏を支持した麻生太郎元首相は、菅・岸田連合に敗北。宿敵である石破首相の勝利を目の当たりに見せられるという屈辱を味わった。

その麻生氏は今回、なかなか支持を明らかにしなかった。だから投開票日の前日に、小泉氏や茂木敏充前幹事長が相次いで麻生元首相のもとを訪れ、支持を求めた。なお、麻生氏と犬猿の仲の古賀誠元幹事長との関係が深い林芳正官房長官は、麻生元首相を訪問しなかった。

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