高市氏"悲願の勝利"で幕を閉じた自民党総裁選、《4位・5位連合》で権力をたぐり寄せた「本当の勝者」は誰か

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10月2日夜には、「麻生氏が『党員票の多いほうに入れろ』と派閥に指令を出した」との噂が流された。早々と「高市氏に投票しろ」との指示が出たということになる。

関係者はざわめいたが、麻生派(志公会)の議員は「そんな話は聞いていない」と否定。「麻生会長は当日の党員票の出方を見て、判断されるのではないか」と述べた。

ばくちに勝った麻生氏が得た果実

麻生元首相が率いる麻生派は、衆院議員33人と参院議員10人で構成される。とはいえ、河野太郎元外相や牧島かれん元デジタル相などのように、すでに小泉支持を明確にしたメンバーもいて、実際のところ、麻生氏が指示できる票はその半数くらいだといわれている。

それらをテコにして、いかに議員票を動かすか。早々に高市氏支持を表明するのは得策ではないと、麻生氏は考えたに違いない。

4位・5位連合
決選投票で麻生氏が選んだのは、1回目の投票で4位だった小林鷹之氏(左)と5位だった茂木敏充氏(右)の議員票を取り込む戦略だった(写真:共同)

そして、編み出されたのが「4位・5位連合」。1回目の投票で小林氏に投じた44票と茂木氏に投じた34票が高市氏に投じられれば、計142票。すでに都道府県票は確定し、高市氏には小泉氏の3倍を上回る36票が入ることは判明していた。よって、高市氏の勝利はほぼ確実といえた。

だが、議員票で小泉氏を上回らなければ、ねじれ状態が発生し、その後の党運営に差しさわるかもしれない。そして、高市氏は党員票で小泉氏に4票差で辛勝。選挙後に麻生氏側から「ばくちに勝った」との言葉が聞こえたが、まさに一か八かの大勝負といえた。

今回の総裁選の“真の勝者”は麻生氏にほかならない。総裁選の翌日、高市氏は麻生氏と党本部で人事について話し合った。党の要(かなめ)となる幹事長として、麻生氏の義弟である鈴木俊一総務会長の名前が挙がっている。しかし、自民党を支配するのは麻生氏で、やがては初の女性首相の黒幕となるはずだ。永田町に“キングメーカー”の高笑いが鳴り響いている。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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