「喫茶博物館を再開させたい気持ちはあるんですが、今は喫茶店ブームなのでもう少し落ち着いてからでもいいかなと思っています。常に新しいチャレンジを自分たちに課して挑戦するという経験ができたから、やってよかったですね」

受け継がれる味、つながる未来

2号店の月見山店で店長を務めていた女性、“さとちゃん”が、8月末に亡くなった。45歳だった。
さとちゃんは乳がんの治療をしながら、働いていた。
山﨑さんが前職で働いていたフロインドリーブの同僚で、誘ったらすんなりとポエムの一員に加わってくれたそうだ。
「さとちゃんは立ち上げから月見山店に関わったこともあり、この店を大事に思ってくれていたし、お客さんからも愛されていました。
2年半前に乳がんが再発してからは、短時間勤務になり、週1勤務になり、体調と折り合いをつけながら働いてくれていました。
8月には末期になって見守るしかない状況やったけど、最期には『幸せや』って言葉を残して旅立ちました」
ポエムは2023年1月に法人化した。売り上げが増えたことと、スタッフに社会保険を提供したかったからだ。
「社会保険をかけていたおかげで、さとちゃんは治療に専念できたと思います。さとちゃんが育てたスタッフが、今は社員として頑張ってくれています。自分がいなくなった後のことまで考えてくれていて、本当にありがたいですね」
気丈に話していた山﨑さんだが、さとちゃんの話になると涙を浮かべた。
さとちゃんが紡いだ味と時間は、スタッフの手とお客さんの記憶の中で生き続ける。月見山店はこれからも、さとちゃんとともに歩んでいく。

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