「鬼滅の刃」のような強烈な"キャラ人気"とは異なる軸でファン拡大…「チ。―地球の運動について―」が示したキャラに依存しない作品の勝算

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(画像:アニメ『チ。―地球の運動について―』公式サイトより)

近年、マンガ作品はアニメ化をきっかけに人気や支持層を大きく広げるケースが増えている。

代表例が『鬼滅の刃』で、アニメ放送を契機に原作の売り上げが急拡大し、映画も記録的なヒットを収めるなど社会現象に発展した。一般的に大ヒット作品の多くは魅力的なキャラクターが話題を牽引し、グッズやSNSでの拡散を通じて人気が拡大するケースが多くみられる。

一方で、キャラクター人気だけでなくテーマ性を軸にした作品はどこまで拡大できるのか。本記事では、インテージが所有するIP(知的財産)に関する調査データベース「IPファン-kit」を用いて検証する。

調査結果から着目したのは、2024年にNHKで放送された『チ。―地球の運動について―』である。この作品は、アニメ化をきっかけに、認知率は7倍、好意率は8倍へと大きく成長した。

「マンガ大賞」からアニメ化で認知・好意が拡大

『チ。―地球の運動について―』は魚豊(うおと)氏による歴史フィクションで、地動説を追い求める人々を描いた作品だ。「マンガ大賞2021」で2位にランクイン、2024年秋には、NHK総合でアニメ化。地上波放送に加え、Netflixでの全世界配信やABEMAでの無料配信も行われ、放送直後には国内外で大きな話題を呼んだ。

インテージの「IPファン-kit」によると、『チ。―地球の運動について―』は「マンガ大賞2021」2位ランクイン後からアニメ放映終了までに認知率が約7倍、好意率が約8倍に拡大。認知率は3%台から21.8%へ、好意率は4.9%に達した。アニメ放映をきっかけに「認知拡大」と「好意定着」が同時に進んだ点が特徴である。

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