「鬼滅の刃」のような強烈な"キャラ人気"とは異なる軸でファン拡大…「チ。―地球の運動について―」が示したキャラに依存しない作品の勝算

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実際の動きとして、2025年春には日本科学未来館で特別展が開催され、秋からは舞台版の上演もスタートした。いずれも、作品の題材を手がかりに新たな来場・鑑賞の接点を増やす取り組みと位置づけられる。こうした展開は、作品の強みがキャラクターに限られなくても、テーマ性や物語を手がかりにファン接点を広げられることを示している。

キャラクターグッズ主導ではない体験価値

このような展開を示した先行例も存在すると筆者は考えている。代表的な作品が『DEATH NOTE』だ。“名前を書けば人が死ぬノート”という強い設定とサスペンスの物語性を核に、TVアニメ化、実写映画化、テレビドラマ化、舞台化、さらに海外版の配信へと媒体をまたいで接点を拡大してきた。

キャラクターグッズ主導ではなく、読む・観るという作品そのものの体験価値が支持の中心になった点が特徴的である。テーマ性やストーリー評価がアニメ化後の拡大に結びついた点は、『チ。―地球の運動について―』とも重なる点が多い。

結論として、テーマ性が高く評価される作品も、アニメ化を起点に新しい層へ届き、イベントや実写化といった物語起点の展開へと接点を広げられるといえる。今後は、作品の内容に即した「接点設計」をどう組み立てるかが、持続的なファン形成につながるポイントになる。

久保寺 祐介 インテージ リサーチャー

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くぼてら ゆうすけ / Yusuke Kubotera

インテージへ入社後、アニメ・マンガ・ゲームを主としたエンタメ業界におけるマーケティングリサーチを担当。調査企画~設計~分析・解析までを幅広く経験し、クライアントの課題解決を支援。国内最大規模のアニメ・マンガ・ゲームに関するパネル調査「IPファン-kit®」の企画~運用全般に従事。

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