こうした新反攻戦略を懐に秘めてゼレンスキーは、前述のトランプとのニューヨーク会談に臨んだ。アメリカの支援に頼らず、反攻に踏み切る覚悟を決めたものの、もちろんワシントンの軍事支援を得られるに越したことはない。ゼレンスキーは上記したような反攻作戦の計画内容を詳細に説明し、長距離巡航ミサイル「トマホーク」の供与も求めたといわれる。
ロシア経済は西側の予想以上に悪化している
同時に侵攻から3年半が経過し、極端な戦時経済の歪みからガタガタになったロシア経済の現状も細かく説明した。外交筋によると、ニューヨーク会談の前にイギリスを公式訪問したトランプに対し、スターマー首相も英情報機関の情報として、ロシア経済が予期していた以上に悪化していると伝えたという。
実はゼレンスキーは、最近のヨーロッパ各国訪問で英仏独など首脳に新たな反攻作戦を説明し、内々に支持を得ていた。こうしたウクライナとヨーロッパとの連携作戦が奏功した形だ。
トランプは2025年2月末のホワイトハウス会談でゼレンスキーと言い争いになったが、その際、「ウクライナにはカードがない」と軍事的勝利の見込みがないことを指摘していた。しかし、今回、ウクライナとイギリス首脳による説明を受け、トランプは現在の「勝ち馬」はロシアでなく、ウクライナのようだと思い至ったようだ。もちろん、これまでも主張をくるくる変えてきたトランプだけに、今後、対ロシアの態度を変える可能性は否定できない。
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