「ウクライナ新反攻戦略は勝ち馬」とトランプが豹変/ドローン活用した製油所・パイプライン攻撃でロシア経済とプーチンを追い詰められるか

✎ 1〜 ✎ 198 ✎ 199 ✎ 200 ✎ 201
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ウクライナにとって、この新反攻戦略の採用は何を意味するのか。それは、2024年秋にゼレンスキー政権が公表した、戦争の外交解決路線からの転換である。2023年夏に行った反攻作戦が失敗に終わったことを受け、ウクライナは東部ドンバス地方など全占領地の武力奪還を断念。ロシアによる占領を事実上、受け入れ、領土回復は将来のロシアとの外交交渉で目指すとの戦略転換を宣言していた。

この戦略は、ドンバス地方のみならず、クリミア半島も当面ロシア領として残り、ウクライナ系住民も占領地に残されるという苦渋の決断だった。

ロシア攻勢の失敗とウクライナ新戦略の奏功

しかし、2025年春以降、ロシア軍のドンバスでの攻勢は難航。ウクライナは、春夏のロシア軍の攻勢が失敗に終わったと宣言した。加えて、ウクライナが夏以降開始した新戦略が、着実にロシアの戦争遂行能力を削り始めた。ゼレンスキーとしては、再び反攻に転じ、プーチンをして、戦争継続の断念に追い込むという新たな軍事解決戦略に切り替えたのだ。

ポドリャク・ウクライナ大統領府長官顧問は最近のインタビューの中でこう指摘した。「戦争はプーチンの属性である。戦争を自らやめることはありえない」。つまり、プーチンとの間で外交解決は不可能との認識を示したのだ。

大失敗に終わった2023年夏の反攻作戦でウクライナは、F16戦闘機供与などアメリカからの支援到着を待たずに、戦車を中心とする地上兵力だけでロシア軍の頑強な防衛網の正面突破を図り、結局、挫折した。20世紀的な古典的作戦の挫折を味わったと言える。

今回ウクライナが目指している軍事作戦は、これとまったく異なる新戦略だ。これは戦場でロシア軍を正面から叩くことより、軍事用燃料の生産能力など継戦能力、つまり戦争インフラを奪うことに重点を置くというものだ。

次ページドローンを活用して製油所などを攻撃
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事