巨大フェリーが目指すは「志布志市志布志町志布志」 やや中途半端なターミナル港発着で「さんふらわあ さつま・きりしま」がしっかり儲けている訳
この航路は、なぜ「志布志寄港」で生き残れたのか?「商船三井さんふらわあ」に聞いてみると、寄港には「所要時間の短縮・燃料費の節約」というメリットがあったという。
錦江湾の少し奥にある鹿児島港に到達するには、志布志港から大隅半島を約200km回り込む必要があり、1977年当時の時刻表を見ると「大阪南港18時50分発・志布志港9時50分着・鹿児島谷山港15時20分着」と記載されており、実に6時間近い遠回りを必要としていたようだ。かつ、長らく使用していた「谷山港」は、種子島・桜島方面などのターミナルが集積するエリアのかなり南側にあり、利便性もそこまで良くない。
そして、クルマ利用者にとっては、志布志港から陸地を走ったほうが、鹿児島市内には早く着く。さらに、志布志なら鹿児島県・宮崎県の双方から旅客・貨物ともに集客できる。なら、志布志港だけに寄港地を絞れば……こうして1986年には志布志港~鹿児島港間が繁忙期のみの運航となり、その後消滅。いまのルートに落ち着いた。
大阪~志布志航路はその後も長らく経営が安定せず、運航会社も「ブルーハイウェイライン→ブルーハイウェイライン西日本→ダイヤモンドフェリー→フェリーさんふらわあ→商船三井さんふらわあ」と流転を繰り返し、現在に至る。
30年ほど前までさかのぼると「赤字」関連のニュースが新聞の紙面をにぎわせているが、総トン数1万3659トンの大型フェリーは、難しい説明は省くが「ドーンと大きいから揺れも少ない」。
近年は、高速道路などで志布志港の利便性が向上したこともあってか、商船三井によると「航路別収支は、平成23年以降コロナ禍を除き黒字を確保しています」とのこと。
志布志市も運賃補助などで航路を支えており、秋になると多量の修学旅行生や、部活の遠征で、船内はにぎわいを見せる。志布志港に移転したからこそ旅客・貨物の需要を手堅くつかんだ「さんふらわあ」は、今日も大阪市~鹿児島県志布志市志布志町志布志間の海上を、ひと晩かけて走り続ける。
さんふらわあに乗船したら…まずは「さんふらわあカレー」でしょ!
「さんふらわあ」は大阪~鹿児島間の航路開設から50周年を迎え、2025年9月30日には、ひと晩限りの記念運航を含む「就航50周年フェスティバル BEYOND」が開催。
当日限りのレストランメニューやイベントなど盛りだくさんの航海ではあるが、9月中旬の取材時には、「当日の乗船チケットは早々に完売済み」とのことだった。


無料会員登録はこちら
ログインはこちら