"中の人"による「マスターキー侵入」性善説の限界 賃貸を契約するときにすべきこと 「鍵管理をやめた不動産屋も」

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当時、社内では鍵を持たないことへの不安の声が上がった。「入居者が鍵を失くしたり、高齢者が部屋の中で倒れていたりしたときの緊急対応ができるのか」というのが理由だ。

このため同社は、入居者が鍵を失くした場合に、24時間365日対応する外部サポートを導入。入居者には原則加入してもらっている。また、居室の鍵管理をやめる前から住んでいた入居者には、同社で管理していた鍵を返却することを伝えたが、希望した人は1%にも満たなかった。残った鍵は専門の処分場で融解処理した。

高齢者と連絡がとれないなど緊急時には、警察に通報したうえで、警察官や鍵交換業者が立ち合いのもとで対応する。鍵を持つことをやめてから15年たつが、トラブルはほぼない。

別の大手不動産会社で賃貸物件の管理業務をする、男性社員にも聞いた。この会社では、ここ数年、全戸を開けられるマスターキーは極力、預からない流れという。マスターキーは建築したときに鍵のメーカーが作り、受け取るかどうかは発注者の判断になる。

「性善説に立つと悪用しない前提ですが、何かのはずみで悪いことを考える人もゼロではない。だったら預からないのが安全という考えになってきています」

すでに預かっているマスターキーは、社内のセキュリティーエリア内の金庫に保管。扱うのは一部の役職に限られ、取り出すときは複数人が立ち会う。

スマートロックの導入進む

スマートDKロック
大東建託オリジナルの「スマートDKロック」(写真:大東建託提供)

スマホや交通系ICなどで解錠できる「スマートロック」の導入も進む。鍵の紛失や閉め忘れ、複製リスクも防げるとされ、日本でも広がっている。

約129万戸の賃貸住宅を管理する大東建託パートナーズは、大東建託オリジナルのスマートロックを2025年5月から導入開始した。

暗証番号を入力するときにパネル表示される番号は、ランダムに位置が変わる。パネルについた皮脂などから暗証番号を読み取れないようにするためで、セキュリティーに配慮した。

ICカードやスマートフォンが使えるため、家族一人ひとりに合った方法で解錠できる。同社管理工事部の青木俊憲さんは「新築物件では8割超で契約済みで、既存物件にも広げたい」と話す。

同社も2003年から居住用の賃貸物件の鍵は、自社やオーナーで管理していないという。

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