"中の人"による「マスターキー侵入」性善説の限界 賃貸を契約するときにすべきこと 「鍵管理をやめた不動産屋も」
<2021年10月 女性連続暴行の元不動産会社社員に懲役23年>
福岡市内のマンションの部屋に侵入し、女性に乱暴を繰り返したとして強盗・強制性交等や住居侵入などの罪で、元不動産会社社員が逮捕、起訴された。不動産会社勤務のときに知った、暗唱番号でマンション共同玄関のオートロックを開けていた。福岡地裁は、元社員に懲役23年の判決を言い渡した。
<2025年3月 不動産仲介業者が合鍵作成、住居侵入容疑などで逮捕>
不動産仲介業者が、都内の賃貸住宅を女性に紹介した後、引き渡し前に合鍵を作成。女性の部屋に侵入し、住居侵入などの疑いで逮捕された。
「家に愛着がある」警察に届けないケースも
「家そのものに愛着があり、貸主ともめたくないと、警察に届け出ないケースもあります」と話すのは、防犯アドバイザーの京師美佳さんだ。
京師さんが過去に相談を受けたケースでは次のような事例があった。
母と娘で住んでいた家に、近くに住む貸主が合鍵で部屋に入っていた。部屋の本や小物の位置が変わっていたことを不審に思い、部屋に屋内用防犯カメラをつけてわかったという。
家は亡くなった父と長く住んだ、思い出の家だった。母娘は「この家に住み続けたいので、警察沙汰にはしたくない」と、自力で解決することに。スマホや交通系IC、暗証番号で玄関の鍵を解錠できる「スマートロック」を取り付けた。貸主には別の暗証番号を伝えた。以来、貸主が侵入することはなくなった。
京師さんは「特異な例かもしれませんが、原状回復できるスマートロックもあるので、貸主に確認しながら活用するのも方法の1つです」とアドバイスする。

そうした鍵の悪用リスク回避や、業務の負担軽減のために、対策をとってきた不動産会社もある。
三好不動産(福岡市)は2010年から、管理する賃貸物件の居室部分の鍵管理をやめた。以前は鍵3本のうち2本を入居者に渡し、1本を同社で管理していたが、今は入居者にすべての鍵を渡している。
15年前と早い時期の導入について、担当者は「鍵を悪用するリスク回避、鍵保管の業務負担の軽減のため」と説明する。本社の保管庫で数万本もの鍵を管理し、場所の確保やセキュリティー面での負担が大きかったという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら