まさかの《へずまりゅう》化? 自民党総裁泉の演説会で高市氏が突然「シカ派」へと転じた"ある意味で納得"の理由

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これについて高市氏は、選挙区内に法隆寺があることで聖徳太子との縁を強調。さらに春日大社と奈良公園、東大寺のすぐそばの幼稚園に通ったこと、親の転勤で橿原神宮のすぐそばに引っ越したこと、神武天皇陵などに連れていってもらった思い出などを語り、「私は歴史や伝統、文化の中で育った」と述べている。

こうした背景を考えれば、高市氏が「奈良公園のシカ」に込めた思いは想像できる。

奈良公園のシカは「神様の使い」とされ、大事にされてきた歴史がある。にもかかわらず、今や奈良県警の警官が公園内で「シカを大切に扱ってほしい」と英語や中国語で呼びかけなければならない現実を、奈良で生まれ、奈良で育った「奈良の女」の高市氏には許すことができないはずだ。

演説を「シカ尽くし」にした高市氏の思い

24日の日本記者クラブによる討論会でも「奈良公園のシカ」についての質問に、高市氏は「出馬会見で政策についてこれでもかというくらいしゃべり散らかした。中には『もう政策はたくさん』と思う方もいらっしゃったので、私の心の中の思いを話した」と説明した。

櫻井よしこ
櫻井よしこ氏の活が高市氏の故郷への思いに火をつけた格好だ(写真:時事)

その「心の中の思い」は後に続いた質問により「外国人排斥」へと誘導され気味となったが、そもそもの発想は21日の「有志の会」で櫻井氏が高市氏に語った「政治のありよう」に触発されたものではなかったか。

衆参両院で与党が過半数割れとなった現在、今回の総裁選で選任される新総裁は必ずしも首相に就けるとは限らない。だからこそ、今回の総裁選は当選を目指すための無難な主張に終始するのではなく、それぞれの本音が交わらされる議論を期待する。

安積 明子 ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事