三菱電機、重電の優等生が一転減益の事情 中国でエアコンの在庫が積み上がる

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決算内容について厳しい見通しを説明する三菱電機の松山常務

中国の景気減速以外にも悪条件が重なった。

重電システム事業では、第1四半期に追加費用を必要とする案件が発生し、「コスト悪化は年間を通じてカバーできない」(松山常務)。また、防衛システム事業では大口案件が減少、交通事業でも一部ずれ込んだ案件があった。これらの事業は、2017年3月期には回復が望めそうだが、半導体事業やFA事業について、松山常務は「底を打つのは早くても12月」と説明する。さらに、ビルシステム事業でも受注減が下期後半から徐々に顕在化する見込みで、回復までには時間を要しそうだ。

2015年3月期には、7年ぶりに過去最高益を更新した三菱電機。2021年3月期までに売上高5兆円以上、営業利益率8%以上の目標に向けて、今期から3年間を「活動の展開」と位置付け、成長戦略を実行する年にあてていた。その一環として、今年8月にはイタリアの空調会社デルクリマ社を過去最高の約900億円で買収することを発表、攻めに転じてきたが、ここに来て成長に急ブレーキがかかってしまった。

松山常務は、「2015年3月期はいろいろとよかったが、2016年3月期については、先行き見通しの不安定要素が増えてきた。それぞれの事業ごとに集中点を狙って進めて必要がある」という。不安材料が多い中、通期の営業利益減額幅が200億円だけで済むかは、不透明だ。下期に向けてどれだけ有効な対策を打てるかにかかっている。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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