半導体のルネサス、悲願の黒字達成後の試練 車載半導体に業界再編の波、首位転落の危機
車載半導体大手のルネサスエレクトロニクスが、ようやくスタートラインに立った。
2015年3月期は、824億円の純利益を計上し、2010年4月に同社が発足して以来、初の黒字化を達成。官民ファンドの産業革新機構が株式の69%を保有する実質的な国有化状態にあるが、今年9月末にはロックアップ(株式の売買禁止期間)が解除されることになっている。
しかし、同社が負の遺産の解消に追われている間にも、車載半導体業界では、合従連衡が進行。ルネサスは今年中にも首位から陥落することが決定的なのだ。
リストラで人員は半減
ルネサスは生い立ちからして不幸だった(上図)。NECを母体とするNECエレクトロニクスと、三菱電機および日立製作所から分社化したルネサステクノロジが統合して誕生したが、当初から過剰な人員と設備を抱えていた。
追い打ちとなったのが、東日本大震災による主力の那珂工場(茨城県)の被災だ。2012年9月末時点で自己資本比率は13%まで低下。産業革新機構に1383億円の出資を仰ぐことになった。
オムロン会長から2013年6月、ルネサスの新CEO(最高経営責任者)に転じた作田久男氏は、リストラを推進する。従業員は2011年3月期末の4万6630人から、2015年3月期には2万1083人にまで半減。不採算事業整理で、売上高も1兆1379億円から7910億円へと減少したが、収益は黒字化した。
再生を果たしつつある、ルネサスが主戦場とする車載半導体は、中長期で成長が期待される有望市場だ。自動車は安全機能の向上などのため、エレクトロニクス化が進展。IHSグローバルの南川明主席アナリストは、「出荷台数の伸びと1台当たりに搭載される半導体の増加で、車載半導体市場は2015年の305億ドルから2019年には383億ドルへ成長する」と見込んでいる。
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