高速道路「最高速度150km/hへ」ヨーロッパの新たな動きをフランス「オートルート」を走って考えた

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では、そんな中で逆行するようなヨーロッパでの速度制限の引き上げを、どう見たらよいのだろうか。

考えられるのは、ヨーロッパにおける電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の普及率の確実な上昇である。

筆者が今回、フランスで借りたレンタカー(フィアット600)もハイブリッド車であったし、フランスで何度も立ち寄ったサービスエリアでは、ガソリンスタンドと同じくらいの規模で充電設備が整っていた。

サービスエリアの充電ステーション(筆者撮影)

今ではヨーロッパのほとんどの国でEVやHEVからなる電動車が、ガソリン車の販売数を上回るようになっている。

一時、ヨーロッパでは「EVの普及が頭打ちとなっている」という報道もあったが、今年になって再び普及の速度が上昇しており、CO2の排出量を考えて速度を抑制する必要が薄れた点もあろう。

ヨーロッパの動きを受けて日本はどうする?

そうはいっても、現在の試みが各国に広まるかどうかは、現時点では不透明だ。

ヨーロッパの高速道路を走って実感するのは、国境を越えて走行する大型トレーラーやキャンピングカーを牽引する乗用車の多さで、これらは時速100km前後で走っているため、制限速度が引き上げられれば、普通乗用車とこれらの低速車の速度差が広がり、危険が増す可能性が高いだろう。

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日本では、新東名や東北道などの一部で時速120km走行が始まって定着しつつあるが、どれほどの速度が上限であるべきなのか、ヨーロッパの動きを受けて、再び議論が起きるかもしれない。

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佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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