高速道路「最高速度150km/hへ」ヨーロッパの新たな動きをフランス「オートルート」を走って考えた

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地元紙のWEB版によると、このシステムは国立交通情報センターによって集中管理され、同センターがいつ高速化を安全に開始できるかを決定すること、この実験には5500万チェココルナ(約3.85億円)の費用がかかる見込みであること、そして試みが成功すれば、この高速化は今後、他の主要道路にも拡大される可能性があることが記されている。

もうひとつのスペインでは、バルセロナ地域の高速道路(AP-7)の一部区間で時速150km走行の試験運用が計画されている。

スペインの高速道路は原則、時速120km制限(筆者撮影)

現在、制限速度は時速120kmだが、アルゴリズムが気象状況、交通量、路面状況を監視して最適な最高速度を決定する可変型のシステムを採用し、視界が良好で周囲に人がいない場合に時速150kmまで合法的に走行できるようにするという(ラジオ・フランスのWEB記事より)。

CO2排出低減のため速度抑制の流れだったが

「いやいや、そもそもドイツのアウトバーンは速度無制限ではないか」「いまさら時速150kmと言われても珍しくないのでは」と思われる向きも多いかもしれないが、アウトバーンでは制限速度を設けるところが多くなり、どこでも自由に好きなスピードで走れるわけではない。

その背景のひとつには、環境意識の高まりがある。地球温暖化の一因となるCO2排出量は、高速になればなるほど多くなる。

フランスの高速道路の速度標識。通常時は時速130km、悪天候時は時速110kmであることを示す(筆者撮影)

ドイツは、ヨーロッパ内でデンマークなどと並ぶ最も地球環境に対して敏感な国のひとつであり、走行速度の抑制はヨーロッパ全体の流れにも見える。

実際、オーストリアは2018年から2020年にかけて、ウィーンとザルツブルク間で時速140kmへ制限速度の引き上げを試行したが、CO2排出量の増加を理由にこの計画を中止した。

また、 オランダでは2020年に、環境上の理由から日中の最高速度を時速100kmに引き下げた(ただし、今年4月から一部区間で日中の時速130km走行を再び許可している)。

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