若者は本当に「空気を読みすぎる」のか?…30年調査で判明した日本人に起こっている大変化

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Z家族 データが示す「若者と親」の近すぎる関係 (光文社新書 1376)
『Z家族 データが示す「若者と親」の近すぎる関係 』(光文社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

日本人の生き方そのものも、より「チル」な方向へとシフトしているようです。たとえば、「これといった人生目標がない」「夢の持てない方だ」と答える若者は増加傾向にあります。「若者よ、もっとしっかりしろ」と言いたくもなりますが、やはりグラフをよく見てみると、49~52歳の回答値も19~22歳とほぼ同じなのです(あまりにも値が近すぎて、グラフが分かりにくくなっているのはご容赦ください)。「人生なるようにしかならない」という考え方はいずれの年代でも定着しつつあるのです。

人目を気にしたり無気力になったりと、なんだか覇気のない社会になりつつあるようですが、もちろんポジティブな変化もあります。「男女のつきあいで女性がリードするのもいいと思う」「仕事に燃えている女性は素敵だと思う」という19~22歳の割合は30年間で増加しており、親世代(49〜52歳)もほぼ同じ回答値です。

変わったのは若者ではなく、時代

(画像:『Z家族 データが示す「若者と親」の近すぎる関係』より)

また、「男だからとガマンしていることがある」「女だからとガマンしていることがある」も、両方の世代でそれぞれ減少。親世代も、ジェンダーへの価値観が変化してきていることを示しています。ステレオタイプにこだわらなくていい時代が訪れているのは、明るい兆しだといえるでしょう。

「Z世代ならではのもの」として語られてきた数々の特徴が、実は「若者に限らず、今の社会を生きる人たち全体に広がっている」傾向だということが見えてきました。若者をスケープゴートにして片付けるのは明らかに適切ではないのです。むしろ、若者は上の世代が形成してきた時代の空気を自然に受け継いでいる─この見方の方が、実態に近いかもしれません。

変わったのは若者ではなく、時代。それが、「だけじゃない」若者像の正体です。

博報堂生活総合研究所

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広告会社博報堂の企業哲学「生活者発想」を具現化するために、1981年に設立されたシンクタンク。人間を単なる消費者ではなく「生活する主体」として捉え、その意識と行動を継続的に研究している。1992年からの長期時系列調査「生活定点」のほか、さまざまなテーマで独自の調査を行い、生活者視点に立った提言活動を展開。『Z家族 データが示す「若者と親」の近すぎる関係』は若者研究チーム(酒井崇匡、髙橋真、伊藤耕太、佐藤るみこ、加藤あおい)による調査・分析をもとに構成されている。

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