若者は本当に「空気を読みすぎる」のか?…30年調査で判明した日本人に起こっている大変化

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このデータを40~50代の方に見せて意見を聞くと、「議論をしてまで押し通したい意見はない」「人と同じだと安心する」「みんなと反対の意見を言って、SNSで反論されるのが怖い」と共感の嵐でした。最後のSNSに関する意見はいかにも現代の若者らしいですが、50代前半の男性の声です。炎上が怖いのはみんな一緒なんですね。

実は30年前、1994年調査の結果分析レポートに生活総研がつけたタイトルは『まさつ回避世代』というものでした。一つ前の世代である「新人類」が周りとの差別化に熱心だったのに対して、団塊ジュニアは無意識的に〝まさつ〟を回避しようとしている、そんな傾向が既に指摘されていたのです。

30年の時を経て当時の若者は年齢を重ね、さらに摩擦を回避し空気を読むようになってきているわけです。その子どもにあたるコアZ世代の結果も踏まえると、「摩擦や悪目立ちを避けたい」「波風を立てたくない」のは、今の日本人全体を包んでいるムードだといえます。

(画像:『Z家族 データが示す「若者と親」の近すぎる関係』より)

世代を超えた「時代の空気」

働き方についても見てみましょう。「自分にできそうなことだけやればよい」「気楽な地位にいる方がいい」といった回答をした若者は、この30年間で大きく増加。反対に「仕事はすべて任される方がいいと思う」と考える若者は減少しており、「若者はけしからん」の文脈でよく触れられるイメージと一致しているように見えます。

しかし、グラフをよく見ると49〜52歳の回答値も若者と大差ありません。肩ひじ張らずに働きたいという価値観もまた、世代を超えた「時代の空気」なのです。

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