「高台なのに…」「近くに川はないのに…」全国各地でたびたび起こる"冠水"の知られざる原因 静岡空港の駐車場はなぜ冠水した?
元々平らな土地だったわけではなく、山の上を平らに造成し、谷部分は埋めるなどして平坦化している。まったく水平ではなく、空港の範囲でも色の違いがある通り、滑走路部分の標高は地理院地図によると北西部では138m、南東部では123mほどと、南東側にゆるく傾斜している空港である。
車両の水没があった駐車場は、このような富士山静岡空港の滑走路やや西側の南のへり付近にある位置関係を押さえておいていただきたい。
富士山静岡空港の車両水没があった駐車場付近の高低差はどうなっているのだろうか。同様に、「地理院地図」の「自分で作る色別標高図」を用いて駐車場付近の高低差を示してみた。
富士山静岡空港の駐車場はどうなってた?
駐車場の北側には航空会社が入っている建物があり、建物の位置も示した。報道による現地の映像、写真を見ると擁壁状に建物付近の標高が高くなっているように見えるが、この点は地理院地図の標高データには反映されていないようであった。
この図では、標高132m以下が濃い青色、そこから50cm刻みで青色(132m~132.5m)、水色(132.5m~133m)、黄緑色(133m~133.5m)、黄色(133.5m~134.0m)、オレンジ色(134.0m~134.5m)、濃いオレンジ色(134.5m~135m)まで塗られている。青系ほど低い土地となる。
駐車場は空港として造成された範囲の南端部にあり、全体としては北から南側に下がっていることから、南側にある谷の方に排水ができれば、冠水などは起きにくい造りとなっている。

浸水があった駐車場の概ねの範囲を白線で囲っているが、高低差は単純に南側に傾斜していないようだ。駐車場内の傾斜は、谷側の南端部にある道路側が高くなっていて(ピンク色点線の部分)、駐車場の北東側が低い、逆傾斜になってしまっている。地図上では最大1.4mほども谷側が高くなっている場所もみられた。
駐車場付近の高低差から想定される、雨水の流れる向きを黒色の矢印で示してみた。実際には地図に表示されない高低差や人工構造物などもあると考えられるが、駐車場付近は周囲より低くなっているため、各方面から水が集まって、南側に排水しにくい場所にあったことは想定できる。
低くなっている場所から排水が十分にできていれば、冠水や車両浸水には至らなかったものと想定されるが、雨量が排水能力を超えてしまった。原因は、「豪雨」だけではない。豪雨の後、雨水がどのように流れて、どこに集まるかが重要だ。
(※あくまで地図情報の高低差をもとにした想定です)
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