「野球に子どもたちが興味を持たなくなる」は本当か? WBCネトフリ論争を"再燃"させる人たちの《残念すぎる思考》

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ネトフリ10周年イベント
10周年イベントで登壇したグレッグ・ピーターズ共同CEO(写真:ネットフリックス提供)

日本でサービスを開始して10周年を迎えたネットフリックスが、9月4日に東京・成城の東宝スタジオで関係者を集めて記念イベントを開催した。10年前、日本法人の代表だった現共同CEOのグレッグ・ピーターズ氏は流暢な日本語で、感慨深げにこれまでを振り返ったうえで、「新たな10年へ向けてスポーツライブ配信に力を入れる」と宣言した。

これに先立つ8月26日、ネットフリックスは2026年のWBC(ワールドベースボールクラシック)を独占配信すると発表していたが、冒頭の10周年イベントを受けて独占配信をめぐる一件が再燃。スポーツマスコミを中心に「WBCで野球人気が盛り上がったのは地上波テレビで誰でも見られたからだ。野球に子どもたちが興味を持たなくなる」といった異論反論が沸き起こった。

イベント当日夜のテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」では、ピーターズ氏に「WBCの試合は会員だけに提供されるのか、ほかの配信方法も考えているのか」と質問。同氏は「ネットフリックス会員だけに提供される」ときっぱり答えた。

この質問は、「WBCの一部の試合は会員以外も無料で見られるようにしてほしい」との声に応えたものだろう。だが、大金を使って得た独占配信権を、ネットフリックスが無駄にするはずがない。

「地上波中継」と「野球人気」をつなげることの矛盾

「WBCを無料で地上波で見せないと野球人気がしぼむ」との意見には多くの矛盾がある。

2023年のWBCの熱狂で野球全体の人気が高まったなら、日本シリーズの視聴率に影響が出たはずだ。だが、日本シリーズの関東地区での平均個人視聴率(各試合の個人視聴率を足して試合数で割った数値)は2021年が5.2%、2022年が5.9%だったのに対し、2023年は6.5% 、2024年は5.9%と、2023年以降も上がったとはいえない。

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