「過保護すぎる」「子どもはケガして学ぶもの」という声も…タカラトミー《おもちゃ4万個自主回収》の"やりすぎ対応"が正解であるワケ

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本件のまるか食品の対応についても、「やりすぎでは?」という声が相次いだ。徹底した対応が評価されたことに、商品が入手できなくなった飢餓感が加わり、販売を再開した暁には、消費者から歓迎され、発売中止前を上回る販売数を達成することができた。

ミツカンの“過剰対応”は炎上

一方で、「過剰対応」が常に有効かといえば、そうとも言いがたい。

今年の8月にミツカンが公式Xアカウントに投稿した文章が批判を浴び、投稿の取り下げと謝罪を行った。しかしこの対応に対して、「取り下げは必要ない」「謝罪は必要ない」という批判がなされるという結果になってしまった。

なお、物議をかもした投稿の内容は、同社製品「冷やし中華のつゆしょうゆ」の写真とともに「冷やし中華なんてこれだけでも充分美味しいです」というテキストが添えられたシンプルなものだった。

これが批判を浴びたのは、SNS上で夏場にそうめんを作ることの負担について論争が起きていたためだ。そこにミツカンの投稿が割って入ったようにとらえられたのだ。

一部の消費者が投稿に不快感を抱いたのは事実だと思うが、投稿内容自体に問題はなかった。削除と謝罪を行ったことは、「クレーマーに屈した」とみられてしまったのだ。

一部のクレーマーや世の中の同調圧力に屈してしまうと、さらに不当な要求に付け入られる隙を与えてしまうという悪影響も生じる。

「過剰対応」が有効なのは、企業側に問題があった場合で、真摯に反省して改善しようとする姿勢が評価され、擁護されるという流れを生む。

企業側に非がない場合、あるいは企業側だけに問題があるわけではない場合は別の対応が求められることは、しっかり理解しておきたい。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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