フェラーリが「8月の雪上ドライブ」を提供した意味とは? 「エスペリエンツァ・フェラーリ・オンアイス」で聞いたメーカーの真意
ギアは1速に固定して走る。自然吸気エンジンだから、ターボチャージャーが働いてトルクがドンっと増えることはない。
エンジン回転の上昇に合わせて、スムーズに力が出ていく。そのため運転しやすい。ていねいに走ってタイムを稼ぐというより、大トルクを利用してリアを流すことをここで覚える。
スポーツカー乗りが好むドリフト走行は、雪上だとよりやりやすい。重要なのは、きれいにドリフトをするために、アクセルペダルのコントロールを覚えること。

12チリンドリは、あえてアクセルペダルの踏力を軽めに設定してあるクルマ。後輪に大きなトルクをかけやすい一方で、ややもすると踏み込みすぎる。
過大なトルクがかかると、当然コントロールしにくくなる。リアがふくらみすぎた……と思ったら、踏み込み量で調整するといった具合。
アクセルペダルをどれだけ踏み込んで、また、どれだけ戻すか。この習熟を目的とした雪上レッスンなのだ。
12チリンドリの実力を垣間見る
中には、ちょっと乱暴なアクセルワークのせいで、スピンモードに走る車両もいた。しかし、それを見ていて感心したことがある。すぐに姿勢が安定するのだ。
電子制御によるエンジン出力調整やブレーキ制御が、すかさず介入するためだろう。
アクセルペダルを踏み込みすぎて、タイヤが高回転で回り、グリップに時間を要するケースもある。

白い雪上に、ミシュラン製スパイクタイヤの黒いスパイクピンが散らばっている。高回転で回るタイヤが、ピンを吹き飛ばしたようだ。
ゆっくり発進して、グリップの状態を確認してから加速するのがセオリーだが、逸る気持ちはわからないこともない。走るのが楽しいのだ。
片輪が滑っても、反対側の駆動力が影響を受けないように、ESC(横滑り防止装置)はオフにしておく。乗っているうちに、クルマの動きにも慣れてくる。

自分が意図したとおりに車両が動いてくれるようになると、12チリンドリへの信頼感が強まり、愛着も増してくる。
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