「イヌ」より嗅覚が優れた動物は実は「ゾウ」だった?――なぜ自由自在に動かせるのか?ゾウの鼻のナゾを獣医病理医が解説
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ゾウは鼻が長いだけでなく、嗅覚受容体の種類も人やイヌより豊富で、たくさんの種類のにおいを嗅ぎ分けられます(写真:iARTS/PIXTA)
茂みから飛び出して素早く獲物を捕らえるネコ、嗅覚の強さから麻薬探知犬として活躍するイヌ、大量の草を効率よく消化するウシ……等々、動物たちの身体機能は人と大きく違います。
さまざまな動物の体を比べてみると、かれらが周りの環境にあわせて独自の進化を遂げてきたことがわかり、その生態や身体機能、病気の秘密が見えてきます。
獣医病理医としてさまざまな動物の体や病気を調べている中村進一さんの著書『不思議でおもしろい動物たちの「からだの中」の話』から、一部抜粋してお届けします。
いちばん「鼻がきく」動物って?
人は数万種類を超えるにおいを嗅ぎ分けられるといわれていますが、動物はそれ以上に嗅覚が優れているとよくいいますよね。
イヌは麻薬探知犬として空港で働いていたり、行方不明者や犯罪者のにおいを嗅ぎ分ける警察犬などとして活躍したりしています。何を尺度にするかによりますが、嗅覚は人の100倍~1億倍といわれることもあります。
嗅覚の強さには、嗅細胞の数、においの分子を受け取る嗅覚受容体の種類、それと嗅細胞がある鼻腔の粘膜の面積など、複数の要素が関わってきます。そのため単純な比較は難しいですが、いくつか指標はあります。
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