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【朝ドラ】「こんな本はこれ一冊にしてください」 やなせたかし、散々だった「あんぱんまん」の評判

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  • 真山 知幸 伝記作家、偉人研究家、芸術修士(MFA)
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編集者のセンスを疑うが、一風変わったヒーローだったことは否めない。やなせ自身も、フレーベル館から出した『あんぱんまん』が受け入れられるとは思っていなかったようだ。

正義のためにたたかう人はたぶん貧しい

「この絵本に登場したアンパンマンは、ぼろぼろのつぎはぎだらけのマントである。正義のためにたたかう人はたぶん貧しくて新しいマントは買えないと思ったからだが、今の子供達に受け入れられるとは思わなかった。奇妙な絵本としてすぐに忘れられると思った」

フレーベル館の編集者も面食らったらしい。やなせはこんな苦言を呈されている。

「やなせさん、こんな本はこれ一冊にしてください。やなせさんの本質はやっぱり『やさしいライオン』のような絵本ですよ。あんな本をまた書いて下さい」

不評だったために、しばらく絵本としてアンパンマンを描くことはなかった。それでも、やなせのなかで、『アンパンマン』というキャラクターに対して、諦めきれないものがあったのだろう。『詩とメルヘン』で大人向けの『熱血メルヘン怪傑アンパンマン』をスタートさせている。

しかし、この連載も1年で終えることになり、妙に気に入っていたキャラクターもこれまでか、に見えた。

まさか自分の知らないところで「アンパンマン」の人気がじわりじわりと、子どもたちの間で広がっていようとは、このときのやなせは知る由もなかった。

(つづく)

【参考文献】
やなせたかし『人生なんて夢だけど』(フレーベル館)
やなせたかし『ボクと、正義と、アンパンマン なんのために生まれて、なにをして生きるのか』(PHP研究所)
やなせたかし『何のために生まれてきたの?』(PHP研究所)
やなせたかし『アンパンマンの遺書』 (岩波現代文庫)
梯久美子『やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく』 (文春文庫)
真山知幸『天才を育てた親はどんな言葉をかけていたのか?』(サンマーク出版)

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