渋谷駅「マークシティ」、あまり知られていない話 東急・京王・メトロの権利割合や再開発との関係は?
その後、ヒカリエやスクランブルスクエアが開業し、マークシティは差別化を図るべく、新たなコンセプトを「日常性」にした。東急フードショー、ダイソーなどを新たなテナントに迎え、渋谷で働く人から訪日外国人まで幅広い層をターゲットとした。
4階のショッピング・レストラン街には「銀座ライオン」「つばめグリル」など有名な飲食店が多数入居し、活況を呈している。遊歩道の両側に立ち並ぶ飲食店の前は、平日のランチ時間帯ともなればどの店の前も大行列だ。
マークシティには4年ほど前に公式キャラクターとして「マーク」と「シティ」という2匹の子犬のキャラクターが登場した。遊歩道の中間にある広場には2匹の子犬のオブジェがどんと据えられている。「ハチ公広場のハチ公像のように、ここで待ち合わせしてくださいという願いを込めてオブジェを作った」(江柄社長)。

井の頭線沿線客をどう取り込むか
東急フードショーや飲食テナントなどの売り上げは3年連続で増えており過去最高を更新した。だが、江柄社長は、来訪者数も売り上げもまだまだ伸びしろがあると考えている。とりわけ「井の頭線沿線のマーケットをもっと取り込みたい」。
渋谷にはJR、メトロ、東急の路線も乗り入れているが、マークシティで買い物や食事をするなら井の頭線の利用者が断然便利だ。井の頭線の沿線住民を取り込むという発想は確かに理にかなう。さらに言えば、京王は新宿駅と渋谷駅の両方で乗り降りできる「どっちーも」という定期券を発行している。オフィスがある新宿への定期をどっちーもに変更すればマークシティで便利に買い物・食事できるという施策も可能だろう。
渋谷スカイウェイが完成するとマークシティのアベニューはその一部となり、いま以上に多くの人々が行き交うことになるのは確実だ。「でも今の環境はちょっと味気ないかな」と江柄社長。将来を見据えて、さまざまな構想を描く。

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