「時給2000円超も!」パートが正社員より稼ぐ"勝ち組非正規"は、大量出現するのか?

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戦後、多くの日本企業は、若手は能力(や成果)に比べて給与水準が低く、中高年は高い、というS字カーブの給与体系を正社員に採用しました。正社員は、20代から40歳前後まで会社に対して貸しを作り、40歳前後から定年までかけて貸しを取り戻すわけです。

人は貸しを作ったら、それを取り戻そうとします。S字カーブの場合、正社員が貸しを取り戻すには、定年(近く)まで働く必要があります。会社にとっては、貴重な人材が定年まで働いてくれます。また若年層が多く高齢者が少なかった昭和の時代には、S字カーブだと会社の給与総額が少なく済みました。これがS字カーブが普及した理由です。

昨今、人手不足になっているのは正社員も同じです。ただ、非正規労働者の時給が労働需給を敏感に反映するのと比べて、給与体系で決まる正社員の給与水準は簡単に変更できません。そのため、労働需給がひっ迫する局面では、若手正社員の給与水準の引き上げが遅れて、逆転現象が起こるのです。

なお、逆転現象が首都圏で起こっているのは、働き口が少ない地方と比べて首都圏では人手不足が深刻であることによります。また、小売り・外食・介護といった業種で起こっているのは、これらの業種はビジネスが労働集約的で人手不足が深刻なことやそもそも給与水準が低いことによります。

逆転現象が広がることはない、むしろ消滅する

将来については、②非正規労働者の時給アップは当面続くでしょうから、①若手正社員の低給与がどうなるかにかかっています。若手正社員の給与水準が上がらなかったり、低下するなら、逆転現象は増えるでしょう。給与水準が上がるなら、逆転現象は減るでしょう。

いま、多くの日本企業が給与制度の見直しに着手しています。加齢とともに能力が上がるという年功序列的な能力主義から、成果主義やジョブ型(職務給)へと転換しようとしています。その結果、中高年の給与水準を下げて、それを原資に若手の給与水準を引き上げています。

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