「時給2000円超も!」パートが正社員より稼ぐ"勝ち組非正規"は、大量出現するのか?

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しかし、同じ小売り・外食・介護でも、首都圏以外の地方ではこうした給与格差の問題を訴える声はありませんでした。

「県内にそんなに好条件の働き口があるわけではないので、時給を引き上げなくても、そこそこパート・アルバイトを採用できます。正社員を上回る時給を提示しないと人を採れないというのは、この地域ではちょっと考えにくいですね」(岩手県・介護)

また、製造業・ITなど他の業種では、正社員と非正規労働者の逆転現象はまったく確認できませんでした。

「基本給の部分だけを取り上げると差は小さいですが、諸手当や福利厚生なども勘案すると正社員と非正規労働者の差は歴然としています。30代以降はその差がどんどん広がります。逆転しているとしても、入社後1~2年の話ではないでしょうか」(栃木県・製造業)

以上、筆者が調査した限られた範囲ですが、正社員と非正規労働者の逆転現象は、「首都圏で小売り・外食・介護などの業種に勤務する20代前半の非正規労働者がかなり長時間働いた場合」に起こっています。たしかに起こっているものの、極めてレアな現象だと言えるでしょう。

給与体系のS字カーブが逆転現象の原因

では、こうした正社員と非正規労働者の逆転現象は、今後、首都圏から全国に、小売り・外食・介護などからあらゆる業種に、若手から中高年にも広がっていくのでしょうか。将来を予測するにあたり、レアであるにせよこういう現象が起こっている背景を見ていきましょう。

逆転現象は、①若手正社員の給与水準が低い、②非正規労働者の時給が上昇している、という2つの事実によって生じます。このうち②は周知の事実なので、①について確認します。

国際的に見て、日本企業の若手正社員の給与水準が低いことが知られています。これは、日本企業に特有の給与体系によるものです。

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