働く理由が激変する「人生の三大支出」の呪縛から解放される2つのタイミング

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このように教育や住宅にかかる費用が減ることで、70代以降は30万円から20万円程度まで家計支出額が減少するのが、多くの家庭の実情である。
子どもの教育費は何歳で完了するか、住宅ローンは何歳で完済するか。この2つは定年前後のミドルシニアの大きな心境変化につながる。

これまでは「子どもの進学がある」「まだ住宅ローンがある」と、家族のために、子どものためにというのを支えに頑張ってきたものが、子どもが大学を卒業して手を離れ、住宅ローンが終わると、働くミドルシニアの意識は一気に変わる。

もうこれ以上頑張らなくていい。多少収入が減ることがあっても大きく困ることはない。このような心境の変化は、定年後の就業の選択に決定的な影響を与えるものなのである。

それぞれで異なる家計の構造変化のタイミング

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もちろん、家計の構造変化を迎えるタイミングは、住宅の状況や子どもの有無などによって人それぞれ異なる。

定年よりもだいぶ前に家計の負担から解放される人もいれば、定年後もしばらくは負担が続く人もいる。60歳以降にも住宅や学費の支払いが長期にわたって見込まれる人にとっては、そう簡単にいかないという人もいるだろう。

しかし、多くの人にとっては、人生の大きなイベントを通過する中でもっと稼がなきゃいけない、もっと頑張らなきゃいけないという心情から、これからは自分の自由にできるという気持ちに少しずつ変わっていく。

そして、そうなると自分は何をやりたかったのか、何が好きだったのか、そしてどのように生きていきたいのかと、自分自身の内なるモチベーションに意識の焦点が移っていく。

どれくらいのお金が必要なのかという観点と、どのような位置づけで仕事に向き合うかといった選択は、密接にかかわってくるのである。

坂本 貴志 リクルートワークス研究所研究員・アナリスト

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さかもと たかし / Takashi Sakamoto

1985年生まれ。リクルートワークス研究所研究員・アナリスト。一橋大学国際公共政策大学院公共経済専攻修了。厚生労働省にて社会保障制度の企画立案業務などに従事した後、内閣府で官庁エコノミストとして「経済財政白書」の執筆などを担当。その後三菱総合研究所エコノミストを経て、現職。著書に『統計で考える働き方の未来――高齢者が働き続ける国へ』(ちくま新書)がある。

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松雄 茂 コンサルタント

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まつお しげる / Shigeru Matsuo

1986年リクルート入社。88年、現リクルートマネジメントソリューションズにおいて人材育成・コンサルティングの営業を行う。2018年からはポストオフし、営業支援、トレーナーのトレーニング品質向上支援、商品開発支援、お客様支援、難度の高いお客様のマネジメント課題に関するソリューションサポートを担う。トップマネジメント伴走支援、ミドルマネジメント育成支援、女性活躍支援、シニア社員活躍支援、事業成果支援、理念浸透など。現在、2025年より独立をし、リクルートマネジメントソリューションズのパートナーとして、企業研修設計、コンサルタントを行う。

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