働く理由が激変する「人生の三大支出」の呪縛から解放される2つのタイミング
人生三大支出といわれるのが、住宅費と教育費、そして老後のための支出である。ミドルシニアの支出の中で大きい項目として、まず住宅に関する出費が挙げられる。
借家なら家賃、持ち家なら住宅ローンといった住宅関連の費用は、50代では平均6万円ほどになる。住居にかかる費用は都市部と地方でも異なり、都市部では家賃や住宅ローンはさらに大きな支出となる。
また、教育関係の出費も大きい。子どもがいる人もいない人も平均したものになるが、それでも50代前半時点において5万円程度の費用がかかっている。子どもの年齢や私立の高校・大学への進学、そのための習い事の費用など、多大な出費を必要とする家庭もある。
また、そのほかで見逃せないのが税金や社会保障にかかる費用が大きいということである。50代前半の支出額は平均13.7万円となる。50代は諸々含めると、毎月平均56万円以上の支出がある。
しかし、定年あたりを境に支出は大きく減少していく。60代前半では44.8万円になり60代後半には35.2万円に下がる。
住宅関連費用や教育関連費用が大きく減少
支出が減少する項目としてまず挙げられるのは、先述の住宅関連費用。50代後半で月5.6万円だったものが、60代後半には2.6万円まで下がる。持ち家の人は住宅ローンを払い終われば、維持・修繕などのメンテナンス費用、マンションを購入した人なら管理費や修繕積立金のみとなり、出費はかなり少なくなる。
もうひとつ、内訳として大きいのは、やはり教育関連費用である。「家計調査」では授業料や入学金、塾などの補助教育費などの教育費に、定期代、かばん、文房具、在学中の仕送り金などの間接的な経費を合わせたものが「教育関係費」としてまとめられている。
教育関係費は、50代前半で5.7万円だったものが、50代後半で月3.4万円、60代前半で月1.0万円まで減少し、それ以降はほぼゼロになる。これは定年前後以降の家計の支出額減少の大きな部分を占める。子どもが自立すると、長年家計の悩みの種であった教育に関する費用から解放され、生活費がぐっと下がる。