新型コロナの新変異株「ニンバス」とは?「カミソリを飲み込んだような強烈な喉の痛み」が特徴。子どもの感染も目立つ《医師が解説》
熱が長引く場合、MIS-Cという、コロナ感染後に発症するまれな病気の可能性もあります。複数の臓器に炎症が起こり、心筋炎や意識障害を引き起こすこともある小児特有の疾患です。
多くの場合、重症の患者さんには人工呼吸器や心電図モニターなどの高度な医療機器を使い、24時間体制で呼吸や循環の管理などを行う専門的な治療(集中治療)が必要です。
ただし発症は非常にまれで、おおむね10万人に1〜2人程度。現在は世界的にも発症例が減少しており、過度に心配する必要はありません。
高熱や、下痢・嘔吐などの消化器症状によって水分が摂れなくなると、子どもは大人よりも早く脱水になります。特に夏はたくさんの汗をかくため、少しずつでも水分をこまめに摂らせましょう。
もし水分をまったく受け付けない、尿の量が減っている(尿の色が濃い)などの症状があれば、医療機関への受診が必要で、点滴による水分補給が必要になることもあります。
新型コロナに関する新たな知見
最近の研究によって、新型コロナに関する新たな知見が少しずつ蓄積されてきました。その1つが、小児のワクチンに対する有効性です。
アメリカ・カリフォルニア州に拠点を置く大規模な医療機関、Kaiser Permanente Southern Californiaの研究グループは、アメリカ医師会が発行する医学雑誌『JAMA Network Open』に研究結果を発表しました。
この研究によると、変異株XBBに対応した最新の新型コロナウイルスワクチンを5〜17歳の子どもに接種した場合、入院や救急外来の受診が63〜73%減少したと報告されています。
なお、XBBそのものは以前ほど優勢ではありませんが、その系統から派生した複数の変異株(先ほど紹介したNB.1.8.1など)が猛威をふるっており、WHO(世界保健機関)もこれらに対するワクチンの有用性を発表しています。
また、CDC(アメリカ疾病予防センター:Centers for Disease Control and Prevention)が発表した大規模公衆衛生調査など、複数の研究レビューによれば、mRNAワクチンにはMIS-Cの発症リスクを大幅に減らす効果があるとされ、特に5〜11歳の小児でおよそ85%以上の予防効果が示されています。
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