「ついに小泉首相が誕生か?」とザワつく永田町、"秋の大政局"のカギを握る《キングメーカー》の正体

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そこで注目されるのが、「ポスト石破」の可否も含めた、自公政権安定化に向けた菅氏の具体的な戦略だ。

そもそも、秋以降も自公政権が継続することを前提とすれば、次期臨時国会でガソリン減税も含めた補正予算案をはじめとする重要法案を成立させるためには、野党との連携が不可欠。「今のところ、その対象の一番手は維新」(党執行部)との見方が少なくない。

8月に発足した維新の新体制を見ると、「全国政党化」を目指すとしながらも、「実態は大阪の地域政党としての存在感を高めようという布陣」(自民党幹部)との見方が多い。そうした意向を踏まえてか、同党の“創業者”である橋下徹元大阪市長が早々と「『大阪組』を中心とした副首都構想を掲げた“連立入り”」を提起。党内でもそれに呼応する動きが台頭している。

こうした状況は、菅氏にとっても「絶好のチャンス」(周辺)となる。菅氏は、もう1人の維新“創業者”である松井一郎元代表(前大阪府知事)と緊密な関係を維持しており、自民党内でも維新との連携について「最終的には菅さんと松井さんの間でどれだけ話を詰められるかだ」(自民党の国会対策幹部)との見方が広がる。

8月1日夜には、森山幹事長が以前から親交のある、維新の遠藤敬衆院議員と東京都内で会食したが、この直前に菅氏は森山氏と約30分密談して、今後の政権運営や国会対策について助言したとされる。その後、遠藤氏の国対委員長再登板が決まった。自民党内では「菅氏が根回しをした結果では」(同)との声が相次いだ。

総裁選前倒しで注目される「菅・小泉連合」の対応

今後の展開次第だが、仮に9月初旬に自民党総裁選の前倒し実施が決まれば、石破首相の総裁選出馬は困難視されている。その場合、菅氏は昨年9月の総裁選に続き、小泉農水相を支援するとみられている。自民党内では「菅氏が小泉新政権誕生の立役者になる」(無派閥有力議員)との声が少なくない。

もちろん菅氏は、現時点では副総裁として石破首相を支える立場にある。現職閣僚である小泉氏に対しても、「今の段階で動くべきではないと、自制を促している」(周辺)とされる。

そこで注目されるのは、総裁選管理委員会が「総裁選前倒し」の賛否を47都道府県連に確認する際の、神奈川県連の対応だ。同県連は小泉氏が会長を務め、菅氏も所属しているが、県連内でも「総裁選前倒し論が根強い」(県連若手)という。永田町界隈では「それを菅、小泉両氏がどうさばくかも、大きな見どころ」との声が広がっている。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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