「ついに小泉首相が誕生か?」とザワつく永田町、"秋の大政局"のカギを握る《キングメーカー》の正体

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政界でさまざまな臆測が飛び交う中、菅氏自身は「あえて目立った行動や発言を控え、自民党内の動きを見極めようとしている」(側近)とされる。当面、政局の大きな分岐点となるのは、8月末に行われる見通しの自民党執行部による「参院選敗北の総括」とそれに伴う森山裕幹事長の「進退」表明だ。

自民党幹部の多くは「森山氏は幹事長辞任の意向を固めている」とみており、その場合には石破首相の総裁としての進退も厳しく問われることは間違いない。ただ、石破首相にとって、今月末に予定されるインドのナレンドラ・モディ首相との首脳会談を前に退陣を表明することは「外交儀礼上ありえない」(外務省幹部)。したがって、「退陣を表明する場合でも、時期は9月1日以降」(官邸筋)との見方が多い。

一方、石破首相自身は「日米関税交渉の決着と、それに伴う国内対策の完遂を目指す」として、事実上の続投宣言を繰り返している。その背景には、9月下旬に予定される国連総会での一般演説登壇と、その前後のドナルド・トランプ大統領との対面会談によって、「日米関税交渉の決着を狙う考えがある」(同)とみられている。

首相経験者である岸田、菅両氏も退陣表明後に国連総会に出席しているが、「今回、石破首相が訪米する場合は、トランプ氏だけでなく国連総会に参加するほかのG7(主要先進国)首脳とも、ロシアとウクライナの和平交渉やイスラエルのガザ侵攻など、緊迫・流動化が際立つ国際紛争への対応を協議する“責務”があり、『退陣が決まっているリーダー』としての訪米では意味がない」(同)ことになりかねない。

世論調査での内閣支持率上昇で「続投支持」も

参院選直後の7月23日に行われた石破首相と首相経験者3氏との会談で、麻生氏が「石破首相では選挙に勝てない」と辞任を迫り、岸田氏も責任明確化を求める中で、菅氏は「石破首相の続投意欲にあえて反対姿勢を示さなかった」(関係者)とされる。その背景には、「党内情勢と世論の乖離に対する疑問があった」(同)との指摘もある。

確かに、その時点で自民党内では、旧安倍派など「派閥」勢力が中心となって、石破首相に対する退陣要求を展開していたのは間違いない。ただ、その一方で、報道各社の世論調査などでは首相続投への賛否が拮抗していた。

もともと菅氏は「脱派閥」を持論としてきただけに、今回のような派閥主体の権力闘争には否定的。周辺にも「世の中の雰囲気をよく見ないといけない」と語っていたとされる。

しかも、その後の約1カ月間の各種世論調査では、いずれも石破内閣の支持率が上昇する一方、不支持率の減少が続いている。とくに自民党支持層では「石破続投支持が7割前後」という状況となっているだけに、菅氏は「『それ見たことか』という気持ち」(側近)だとされる。

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