減らない社会保険加入を怠る未適用事業所、請負で保険料逃れも
今回の社会保険適用拡大の議論では、さまざまな働き方がある非正規労働者のうち、労働時間が正社員より短い、パート労働者のみが対象とされている。しかし、議論からは抜け落ちたが、忘れてはならない重要な論点がいくつか存在する。
一つは、本来、社会保険(厚生年金や健康保険など)への加入手続きをすべきなのに、加入の届け出を怠っている企業、いわゆる「未適用事業所」の問題だ。法人もしくは5人以上の従業員がいる個人事業主は、一部の例外業種を除き、原則として社会保険に加入する義務がある。しかし、未適用事業所で働く人は、当然得られるべき社会保険の受益を受けずに働いていることになる。
日本年金機構の調べによると、厚生年金と健康保険の未適用事業所数は、2010年度末時点で10万7935事業所。09年度末よりやや減少したものの、ここ数年間は10万カ所前後で高止まりしたまま。厚生年金と健康保険の保険料を滞納している事業所数も増加しており、10年度末で16万2461事業所に上る。
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