減らない社会保険加入を怠る未適用事業所、請負で保険料逃れも
民主党がパート労働者への社会保険の適用拡大を議論する過程では、「社会保険に未加入の事業所が存在しているのであれば、適用を拡大しても、実効性はどの程度あるのか疑問」との指摘が出たという。
日本労働組合総連合会・非正規労働センターに今年3月までの1年間に寄せられた相談を見ると、未適用事業所で働く従業員の深刻な実態が浮かび上がる。
たとえば、「デパートに出店している小売店に2年間、アルバイトとして週5日勤務している。来月から店長になるが、社会保険は未加入のまま。上司に相談しても、会社の人事に電話をしてはいけないと言われた」(小売業の20代アルバイト女性)。
「社会保険加入を求めて、ようやく加入してもらったが、保険料が会社負担分も含めて全額、賃金から控除されている。会社が契約している社会保険労務士に相談したが、『そんな会社はたくさんある』と話にならない」(運輸業の50代正社員男性)という例も。
相談事例からは、雇用形態にかかわらず人を雇うかぎり社会保険は強制加入というルールが、平気で踏みにじられている実態が透けて見える。