「ノスタルジア」が世界を滅ぼしかねない理由 「昔はよかった」が孕む甘い罠 ポピュリスト政治家が利用する「人民の新しいアヘン」の正体

✎ 1 ✎ 2
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ポピュリスト運動が描く過去のイメージは、しばしば白人や男性を過大視していると非難される。

しかし、ノスタルジアは右派特有のものではない。

左派もまた、パリ・コミューンやソヴィエト連邦、イギリスの国民保健サービス(NHS)のような出来事や制度へのノスタルジックな思い入れを批判されることがある。

ノスタルジアは、人々を特定の方向に投票させたり、ある政策に抗議させたりする原動力となる。

警報装置としてのノスタルジア

ノスタルジアは、ありふれた存在でありながら、その意味は時代とともに変化してきた。

現代では、この感情は「警報装置」の役割も果たしている。

ノスタルジアが公共の議論に出てきたとき、私たちは注意深く観察する必要がある。

どのような経験を愛惜するために使われているのか?

誰がノスタルジアを利用しているのか?

その表現は、ある時代の社会や個人の価値観について何を物語っているのか?

本書は、ノスタルジアという危険な感情の歴史であると同時に、私たちが今、何をし、それをどう感じ、この世界をどう変えたいと願っているのかを分析する報告書でもある。

ノスタルジアは、私たちの現在への不満と、未来へのビジョンを伝える一つの方法なのだ。

アグネス・アーノルド=フォースター 歴史学者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Agnes Arnold-Forster

ロンドン大学キングス・カレッジで博士号を取得。エディンバラ大学、マギル大学、UCL、ロンドン大学キングス・カレッジ、ロンドン大学クイーン・メアリー校感情史研究センターでも勤務。がんと手術に関する2冊の学術書の著者であり、学術誌、医学誌、主要誌に幅広く執筆している。また、BBCラジオやテレビに出演し、テレビドラマやドキュメンタリーのコンサルタントを務め、科学博物館、ウェルカム図書館、王立看護協会と緊密に協力している。ロンドン在住。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事