「これなら自分でやったほうが良かった」をなくすマネージング術 仕事ができる人の“委任”の考え方とは

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そのような意味で、今回お伝えする「委任する技術」は組織の目的・目標を達成するためのタイム・マネジメントの方法論とも言えます。

「委任」と「放任」の違いとは何か?

では「委任」と「放任」の違いは何でしょうか?

放任は、平たく言えば“丸投げ”です。「何のためにその仕事をリーダークラスへ任せるのか」という任せる意図がないのです。

ただ自分の仕事を減らしたい、面倒な作業から手離れしたい、自分がイッパイイッパイで手が回らないからやらせる……このような状態になると、丸投げの任せ方になってしまいます。

放任で仕事を丸投げにしてしまうと、任せられた側は自分の力量や基準で仕事をします。「何のためにこの仕事を任せられたのか」ということを伝えられていないので、そうなるのは仕方がありません。

たとえリーダークラスであっても、メンバーの力量(判断基準や視座、経験からくるスキルや知識など)はマネジャーに比べるとどうしても落ちざるを得ません。

リーダークラスが自分の力量や基準で仕事をしてしまった結果、本来であればマネジャーが10の成果を出せるところを5の成果しか出せないような事態に陥ってしまうのです。

これなら「任せずに自分がやったほうが良かった」と思ってしまうだけでなく、組織的な成果も出せなくなるため、マネジャー自身の本来目指したパフォーマンスも出なくなってしまいます。

大切なのは「任せる意図」を持って任せることです。

そして、任せる意図は「マネジャーが実行したときと近い成果を作ること」「その成果を出すための判断や観点やスキルを部下に分かち合うこと」です。

つまり「任せる」ことも「育成すること」が目的なのです。

経営の神様・松下幸之助氏は人の育て方、活かし方に『任せて任せず』という言葉を使われています。

「仕事は大胆に任せる、しかし任せっ放しではいけない。適時適切に報告を聞き、事と次第によっては的確な指導、助言を与えなければならない。それが責任者の務めである」という意味です。

委任とは、まさに「任せて任せず」の状態と言えます。

マネジャーがリーダークラスに、あるいはメンバーに上手に委任をする際には「何を委任するか」「委任したマネジャーはそのあとに何をすべきか」を具体的にしなければなりません。

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