「賃料相場は30万円台、売ったら2億円以上」「購入価格の倍以上に値上がり」だが…豊洲のタワマン”買って20年弱”の正直な感想とは?住人に聞いた

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男性はタワマンを新築で購入。タワマン購入の経緯はとても単純だ。

「私自身が不動産業界にいて、当時は結婚していませんでしたが、賃貸で家賃を月10万円払い続けるのであれば、早く購入したほうがいいと思っていました」と話す。

豊洲は当時あまりメジャーな地域とは言えなかったが、東京都心に近く、池袋などにも一本で行けるとあって注目されていた。男性は言う。

「東京・丸の内にある会社からそれほど遠くなく、交通の便もよい豊洲でマンションを買いました。当時私は営業担当で、エリアも千葉や埼玉方面に行っていたので東京の東部を選びました。中央線沿いや東急東横線沿いなど、西側の一般的な人気エリアにはまったく関心がありませんでした」

豊洲駅
豊洲駅前にあるマップ。高層ビルが林立していることがわかる(写真:筆者撮影)

タワマンと言えば、気になるのは住民コミュニティだ。上層階住民から下層階住民への「マウンティング」行為など巷では噂されるが、実際はどんな付き合いがあるのだろうか。

「このタワマン自体には3000人以上の人が住んでいますが、現在までに住民はかなり入れ替わっていると思います。隣の部屋も3回くらいは入れ替わっているはずです。タワマンの1フロアは約30世帯くらいいます。たまに顔を合わせる人などはもちろんいるものの、誰も知らないです」

意外と「ラジオ体操」もある

ただ意外にも、タワマンの中では住民が交流するいろいろな企画やイベントも多く開かれているという。地域コミュニティ形成の一環だ。男性が言う。

「ラジオ体操など一般的な行事もあれば、近くの大型商業施設がらみの協賛企画、タワマン内サークルなどもかなり多いです。こういう企画にまったく関心がない住民もいれば、積極参加する住民もいて、グラデーションが激しいです。

私も独身時代はまったくイベントには参加していませんでしたし、今も行事などには出ていませんが、妊娠中の妻はプレママイベントのようなものに参加して友人をつくったりして活用しているようです」

豊洲
「職住近接」を実現できる現代的な街並み(写真:筆者撮影)

管理組合には「50世帯」が駆り出される

そして、もう一つタワマンの中で注視されているのが「管理組合」の現状である。非常に膨大な業務があるとされ、タワマン住民にとってもかなりの重荷となる「仕事」と言われている。

男性のタワマンはかなり大規模なだけに、管理組合は役員がなんと50人ほどいるといい、いち企業のような相当な組織になっている。

「仕事が多忙なこともあってタワマンの管理組合について私はほぼノータッチですが、議事などには目を通しています。意見をまとめるのはかなり大変だと思います。そもそも、1000世帯以上の意見集約はほぼ不可能です」

管理組合がかかわる業務のうち、特に駐車場には時代の変化を感じるという。車が大型化した影響で、現在のマンションの駐車場に入らない車がかなり多いのだという。だいたい全体の1割ほどが大きめの駐車場で、人気が集中して今は約50人待ちとなっている。つまり、実質的にはマンション内での駐車場確保は困難な状況だ。

「周辺で駐車場を探してみましたが、月6万などあまりに高すぎたので、探すのをやめました。これはタワマンにおける需要と供給のミスマッチの典型例だと思います」

こうした状況で管理組合は、ニーズの高い大きめの駐車場をさらに値上げし、それ以外の駐車場を値下げする決議をまとめた。

「私は決議にしか参加していませんが、よくとりまとめたと思います。

私は管理組合には参加したくないので、なるべく表立った意見は言わないようにしています。意見を言うと、じゃあお前がやれとなりそうですので」

いったん管理組合の役員になってしまうと、なかなか抜けられなくなるのも、多くの住民が組合の仕事から及び腰である理由だ。

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