「仕事量が減る人も多いが…」二宮和也が“事務所独立”でもまったくペースダウンしない事情

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『独断と偏見』でも、活動再開発表前の発言として「『嵐の二宮和也』であることは念頭にある」と語っている。

この言葉からも、アイドルであるということがいまも変わらず二宮のアイデンティティの一部になっていることがうかがえる。自分のコミュニティーのなかにいる人が喜んでくれることが最優先という先述の発言も、ファンと近いアイドルならではの感覚が土台にあってのものだろう。

二宮和也の持つ二面性の魅力

『独断と偏見』のなかで個人的に興味深かったのが、コンプライアンスに対する考え方を語った部分だ。

二宮はこう語る。「何かがダメだと言われるのであれば、そのダメなものを続けることに固執するんじゃなくて、まだ生まれていない面白さを追求して育てたほうがスマートだし得だと思う」。

たとえば、タバコを吸うシーンは昔に比べて難しくなった。それならば、タバコを使わずに「アナーキーでちょっとワルくて、でもカッコよく見える動きができるのかを考える」。

こうした柔軟性は、二宮和也の時代への感度の高さを物語るものだろう。ネットへの適応が遅かった旧ジャニーズのなかでも、いち早くYouTubeで「よにのちゃんねる」(旧「ジャにのちゃんねる」)を成功させたことはその証しだ。

過去記事:ジャニーズとネット「二宮和也」が拓いた新境地

仕事の現場においても時代の動きに対しても、フラットで自然体だからこそ周りもよく見えている。そして新しい表現の可能性を絶えず追求する。それが二宮和也の最大の強みであると思える。

つまり、冷静でありながら常にポジティブ。この二面性が醸し出す魅力が、独立してなお活動の幅を広げ続ける大きな理由になっているのではないだろうか。

太田 省一 社会学者、文筆家

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おおた しょういち / Shoichi Ota

東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本社会の関係が研究および著述のメインテーマ。現在は社会学およびメディア論の視点からテレビ番組の歴史、お笑い、アイドル、音楽番組、ドラマなどについて執筆活動を続ける。

著書に『刑事ドラマ名作講義』(星海社新書)、『「笑っていいとも!」とその時代』(集英社新書)、『攻めてるテレ東、愛されるテレ東』(東京大学出版会)、『水谷豊論』『平成テレビジョン・スタディーズ』(いずれも青土社)、『テレビ社会ニッポン』(せりか書房)、『中居正広という生き方』『木村拓哉という生き方』(いずれも青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』(筑摩書房)など。

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