2011年の日本企業の対仏直接投資が過去最高を記録
日本企業のフランスへの直接投資件数が昨年、過去最高を記録した。同国への企業誘致などに取り組む対仏投資庁が公表したもので、昨年の同件数は前年比9件増加の38件に達した。日本水産が同国の子会社、シテマリン社で製造拠点の拡充に踏み切った案件や、同国領のニューカレドニアで住友金属鉱山がニッケル事業の原料調達の安定化を図って、駐在員事務所を設立した案件などが含まれている。
日本からの直接投資件数は国別で第6位。直接投資に伴う新規の雇用創出は874人にとどまり、前年の1370人を下回った。大規模案件の縮小を反映した格好だ。
日本企業の直接投資が増えた理由について、対仏投資庁日本事務所のクリストフ・グリニョン代表は「生産拠点を分散させようとの動きが広がっているためではないか」と推測する。2008年のリーマンショック以降、海外への生産移転の動きが一時鈍ったが、昨年の東日本大震災をきっかけに、リスク分散の観点から再び検討する企業が増加。「09年ごろから止まっていた案件が動き出した」(グリニョン氏)という。外国為替市場で昨年、対ユーロで円高が進行したのも対仏進出を後押しした面がある。
一方、日本を含む世界各国の昨年の対仏直接投資は698件となり、前年比約11%減となった。財政危機深刻化を映して、ドイツなど欧州各国からの投資が減ったのが響いた。
(松崎泰弘 =東洋経済オンライン)
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